煌々 ©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT

煌々 ©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT

2022.2.17

特選掘り出し!:「MIRRORLIAR FILMS Season2」 凝縮した味わい次々と

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

変化をテーマにオムニバス形式で15分以内の短編を上映するプロジェクトの第2弾。柴咲コウ、志尊淳、山田佳奈、三島有紀子、紀里谷和明など俳優、映画監督、クリエーターら9人が監督した。

9本とも表現手法やテンポがバラエティーに富み、鑑賞後はおなかいっぱい。余韻に浸る間もなく異なる作風の物語が続くが、じっくりうまみを味わいたい作品も多い。だらだら長い長編が目につく昨今、無駄を省き凝縮したぜいたくな短編集は新鮮そのものだ。

山田監督の「煌々(こうこう)」は本栖湖を背景に母親と一人息子の素直な思いを丁寧につづった。片岡礼子が母親を好演。「インペリアル大阪堂島出入橋」は閉店する洋食レストランの歴史とシェフ(佐藤浩市)が明け方の街を歩く姿を長回しで記録した三島監督作品。佐藤の後ろ姿とあっけらかんとしたラストが歯切れ良い。俳優、志尊の「愛を、撒(ま)き散らせ」は悩みを抱えてもがく人と寄り添う女性(板谷由夏)との電話の一言一言に吸い込まれる。板谷の多彩な表情が秀逸。このほか、愛する者を失った男のバイオレンス、価値観の異なる夫婦のコメディーなどてんこ盛りの2時間1分。東京・ユーロスペース、大阪・イオンシネマシアタス心斎橋ほか。(鈴)

この記事の写真を見る

  • 煌々 ©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT
さらに写真を見る(合計1枚)