みしま ゆきこ
1969年4月21日 生まれ
映画監督「Red」(2020)「ビブリア古書堂の事件手帖」(2018)「幼な子われらに生まれ」(2017)「少女」(2016)「破れたハートを売り物に」(2015)「繕い裁つ人」(2014)
「三島有紀子」記事件数
新型コロナウイルス感染流行で、最初の緊急事態宣言が出された2020年4月、何を感じ何をしていたか。「東京組曲2020」は三島有紀子監督が企画、監修し、20人の役者たちとフィクションも交えて「その時の思い」を記録した作品だ。三島監督は、コロナ禍が次第に過去になっていく中で「今、見るべき映画になった」と語る。 世界中の人の背中をさすってあげたい 20年4月7日、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言が出され、同16日に対象が全国に拡大した。三島監督は自身の誕生日である同22日未明、眠れずにベランダで小説を読んだり、脚本のプロットを書いたりしていた。真っ...
鈴木隆
2023.6.18
CGV全州高士(チョンジュㆍコサ。韓国にある映画館)8館、2023年5月2日21時36分より「東京組曲2020」の上映後のゲストトーク。 同作は全州国際映画祭(以下、「JIFF」)東アジア映画特別展に、日本を代表する作品の1本として出品された。そもそも作品を紹介したのは筆者だが、東アジア映画特別展自体にも深い意味がある。2012年5月の日中韓文化相会議で合意されて以来、2014年から3カ国で文化的伝統を代表する都市を選定し、毎年3都市を行き来しながら文化交流イベントを開催する国際交流プロジェクトの一環だったからだ。 今年の文化都市は日本の静岡県と韓国の全州市、そして中国の成都ㆍ梅州市。日...
洪相鉉
2023.5.29
新型コロナウイルス感染拡大で最初の緊急事態宣言が出された直後、2020年4月22日の三島有紀子監督の体験が発想の起点となった短編集。三島監督の呼びかけで、20人の役者たちがコロナ禍の出来事と思いを自ら撮影、三島監督が監修してまとめた。経験したことのない災厄に仕事を奪われ、戸惑いの中で何を感じたか。映像として記録に残したいという思いから製作された。 出演予定作品の撮影が中止になり、将来への見通しが砕かれた人、目に見えぬウイルスにおびえ、家族との接触を断絶する人。えたいの知れないものへの恐怖と反応を記録した。ドキュメンタリーと銘打っているが、三島監督が演出を提案したケースもあったという。組織への...
2023.5.12
「希望とは、目覚めている人間が見る夢である。」 有名な哲学者アリストテレスが残した名言の一つである。では、希望を持つことができないとはどういうことなのか……。 周りから完全に遮断された閉鎖的な世界で、変わることを禁じられた人々が「生きよう」とする世界。映画「アリスとテレスのまぼろし工場」について語っていく。 変化することを禁止 14歳の菊入正宗はいつものように仲間たちと普通の毎日を過ごしていた。ある日、町の製鉄所爆発事故により町が一変。空に謎のひび割れができ、時が止まってしまった。再び町が元に戻った時に支障をきたさないよう、変化することを町民一同禁止し、正宗たち学生は〈自分確認票〉...
堀陽菜
PRワーナーブラザース映画、MAPPA
2023.9.13
毎日新聞の映画サイト「ひとシネマ」初のオンラインイベントが、5月27日(金)、約2時間半にわたって開催された。第1部では、「Z世代の『映画の推し事』」と題して、ひとシネマでライターをしているZ世代の2人が現代の映画との付き合い方について語り合い、第2部では映画監督の三島有紀子が「日本映画の世界への可能性」について、作り手側からの見解を述べた。 映画は「社会問題」や「まだ見ぬ世界」との懸け橋 第1部「Z世代の『映画の推し事』」に登場したのは、大学で映像身体学を勉強しているガールズユニット「Merci Merci」の青山波月(あおやま・なつ)と、東京2020パラリンピック開会式で片翼の小さ...
及川静
2022.6.24
映画祭取材などの機会に海外で日本映画を見ると、一緒に見ている観客の反応に戸惑うことがある。特に笑い。「ここで?」という場面で会場が沸いて取り残されることもあれば、「ここでしょ!」というところなのに笑っているのは私だけということも。字幕のせいもあろうが、そもそも文化的にツボが違うのかもしれない。 5月に参加したオンラインイベントでも、三島有紀子監督が反応の違いを話してくれた。毎日新聞社が運営する映画サイト「ひとシネマ」の企画で、三島監督らを招いて日本映画の海外展開について話を聞いたのだ。 「韓国のお客さんは、説明的なセリフが終わると身を乗り出す。日本では説明的なセリフの時にグッと集中する」。...
勝田友巳
2022.6.06
毎日新聞創刊150年を記念してつくられた映画総合サイト「ひとシネマ」の開設記念のオンライントークイベント(毎日文化センター大阪共催、コカ・コーラボトラーズ協賛)が27日午後7時から、2部形式で開かれる。映画監督やひとシネマの執筆陣が映画について語り合い、日本映画やひとシネマの可能性を探る。参加無料。 勝田友巳編集長のあいさつの後、ひとシネマライターの青山波月さんと和合由依さんが語る第1部は「Z世代の映画の推(お)し事(ごと)」がテーマ。第2部では大阪府出身の映画監督、三島有紀子さんと副編集長・SYOさんが「日本映画の世界への可能性」をテーマに話す。 三島監督は監督作「幼な子われらに生ま...
ひとシネマ編集部
2022.5.25
5月27日、オンラインイベントを開催! 「ひとシネマ」オープンを記念して、5月27日、初めてのオンラインイベントを2部形式で行います。 創刊の挨拶と総合司会は同編集長の勝田友巳。 続いて第1部はひとシネマライターの青山波月さん、和合由依さんを迎えて「Z世代の映画の推し事」を語ります。青山さんはアイドルグループ Merci Merci に所属。大学で映画を学んでいます。和合由依さんは東京パラリンピック開会式で「片翼の小さな飛行機」を演じ、世界中に感動を与えました。現在は都内の中学3年生。進行はひとシネマ総合プロデューサー宮脇祐介がつとめます。 第2部は現在、監督...
2022.4.28
知略と創造性に満ちている 「私は文字通り、この映画に感銘を受けた(日本の女性監督が演出した。 日本ではこのことはアンダーラインを引くほど珍しいことである)。優雅で熱情的で献身的な … 情熱と感情の真の驚異、この作品の成就は知略と創造性に満ちている。 建築に対する隠喩が絶妙に使われているが、これはますます大きくなる内面の象徴でもある。 映画の崇高なポスターに魅了されていた私は、なにかを征服した時よりも多くのことを感じた。」 フランスの映画専門ウェブサイト《アロシネ》に誰かが書いた感想を、やっと読解ができる語学力で読みながら深く感銘を受けて、全文を翻訳してしまった。 現地での公開は3月9日...
2022.4.27
三島有紀子監督に聞く・下 質の高い作品群に目を向けて 「幼な子われらに生まれ」「Red」など第一線で活躍する三島有紀子監督が、監督・田中絹代について解説するインタビューの後半。俳優として、監督として、生涯を通じて映画に身をささげた田中絹代の業に迫る。近年、女性監督の活躍も目立つ日本映画界だが、70年近く前に逆風に立ち向かいながら道を切り開いてきた田中絹代の功績、作品のクオリティーの高さに驚き、今こそ目を向けるべきだと訴える。 映画に身をささげる覚悟 --田中絹代監督は「演出しかできない」と言って監督になった。 田中絹代の歩んだ道筋を見ていると、映画に身をささげた人というか、...
2022.4.20
アニメーション制作スタジオ・MAPPA初のオリジナル劇場アニメーション作品「アリスとテレスのまぼろし工場」(毎日新聞社など製作委員会)が公開されている。 突然起きた製鉄所の爆発により外との接続が遮断され、時までもが止まってしまった町・見伏が舞台の本作。いつか元に戻ったときのために「変わらないこと」を強要される中で、退屈な毎日を過ごす14歳の菊入正宗と佐上睦実、そして野生の狼(おおかみ)のような謎の少女・五実が恋をして、未来へともがく姿を描いている。 映画を見る前に読んだ、脚本・監督を務めた岡田麿里氏が手掛けた原作小説は、少年少女たちの葛藤を通して「生きること」について...
きどみ
2023.9.22
三島有紀子監督に聞く・上 「憑依型」俳優ならではのリアルな演出 40代前半から約10年の間に6本の映画を撮った監督・田中絹代。いずれも俳優・田中絹代との深い相関関係が生み出した作品たちであり、双方が交錯してより高い極みを築き上げていった。監督・田中絹代は、現代の女性監督にはどう見えるのだろうか。柔らかな視点と骨太な演出で女性の自立や働く女性を描き、現在第一線で活躍する三島有紀子監督に、田中絹代監督の演出の核心をひもといてもらった。今回はその1回目。 芝居場にいたるまでの繊細な積み重ね --6本の監督作品の中で最も印象に残っている作品は。 3作目の「乳房よ永遠なれ」(1955年)...
2022.4.06
変化をテーマにオムニバス形式で15分以内の短編を上映するプロジェクトの第2弾。柴咲コウ、志尊淳、山田佳奈、三島有紀子、紀里谷和明など俳優、映画監督、クリエーターら9人が監督した。 9本とも表現手法やテンポがバラエティーに富み、鑑賞後はおなかいっぱい。余韻に浸る間もなく異なる作風の物語が続くが、じっくりうまみを味わいたい作品も多い。だらだら長い長編が目につく昨今、無駄を省き凝縮したぜいたくな短編集は新鮮そのものだ。 山田監督の「煌々(こうこう)」は本栖湖を背景に母親と一人息子の素直な思いを丁寧につづった。片岡礼子が母親を好演。「インペリアル大阪堂島出入橋」は閉店する洋食レストランの歴史とシェ...
2022.2.17
コロナ禍での、三島有紀子監督の体験が発想の起点となった短編集。コロナ禍で仕事を失った役者たちに、感じたことを映像の記録として残したいと呼びかけ、これに応じた20人がそれぞれの身に起きた出来事をフィクションを交えて撮影。三島監督が監修、編集した。 ©️「東京組曲2020」フィルムパートナーズ
湖のほとりのパンカフェ。 東京から北海道に移り住み、湖が見渡せる丘の上でパンカフェ「マーニ」を始めた夫婦。水縞くんがパンを焼き、りえさんがそれに合うコーヒーを淹れ、料理をつくる。そこには、日々いろんなお客さまがやってくる。それぞれの季節にさまざまな想いを抱いて店を訪れた彼らが見つけた、心の中の“しあわせ”とは? そして彼らを見守るりえさんと水縞くんに訪れることとは?
重松清原作の映画化。中年サラリーマン田中信(浅野忠信)は2人の子持ちの女性奈苗(田中麗奈)と再婚した。奈苗の妊娠により、長女の薫(南沙良)は本当の父・沢田(宮藤官九郎)に会いたいと言い出す。DVで別れた沢田と合わせたくない2人と、娘の間には深い溝が出来ていく。
神戸の坂の上の洋裁店の店主・南市江(中谷美紀)は頑固一徹の昔気質の洋裁職人。先代が残した洋服のお直しと、先代がデザインした一点物の新作を作るだけ。南洋服店の服は、世界で一着だけの一生物だった。デパートにつとめる藤井(三浦貴大)はその質の良さを多く人に知ってもらいたいとブランド化を勧めるが見向きもしない。そんな藤井の、自分がデザインしたドレスを作りたいはずだと言われ、心に秘めていた気持ちが動きだす。
エリートサラリーマンの夫・村上真(間宮祥太郎)、一人娘、夫の両親と何不自由のない生活を送る塔子(夏帆)。経時的には何一つ申し分の無い生活を送っていたが、何か満たされない気持ちを持っていた。元恋人・鞍田明彦(妻夫木聡)との再会で再び関係を持つことによって塔子の人生は変わっていく。島本理生原作小説の映画化。