DUNE/デューン ©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

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2021.10.21

DUNE デューン 砂の惑星

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

フランク・ハーバートの有名なSF小説の新たな映画化である。西暦1万191年、希少性の高い香料が採れる砂漠の惑星アラキス。この星に移住したアトレイデス家の子息ポール(ティモシー・シャラメ)が、宿敵の陰謀によって父を殺され、自らの使命に目覚めていく姿を描く。

これまでデビッド・リンチら大物監督が映像化に挑み、失敗や挫折を繰り返してきた企画だが、今回メガホンを執ったのは「ブレードランナー 2049」を成功に導いたドゥニ・ヴィルヌーヴ。砂の惑星の荒涼とした風景と特異な生態系の描写に注力し、雄大かつ詩的な世界観を創出した。美術、音響、視覚効果のクオリティーも出色で、スクリーンで見るにふさわしい壮観なショットが連続する。その半面、「スター・ウォーズ」などに影響を与えた戦記物のストーリーには既視感があり、原作の前半部を語るにとどまって結末も尻切れ気味。大河ドラマの「序章」と割り切って鑑賞すべし。2時間35分。東京・TOHOシネマズ日本橋、大阪・あべのアポロシネマほかで公開中。(諭)

ここに注目

砂の一粒にまで監督の美意識が徹底された映像とじっくりとした語り口で、原作未読でも砂の惑星の世界に没入できる作り。神話的なSFの主人公ポールに、クラシカルな美しさをもつシャラメがハマっている。〝覚醒〟したポールの成長物語でもあり、早くも続編が見たくなった。(細)