「劇場版 奥様は、取り扱い注意」

「劇場版 奥様は、取り扱い注意」©︎2020映画「奥様は、取り扱い注意」製作委員会

2021.3.18

「劇場版 奥様は、取り扱い注意」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

日本テレビ系で2017年に放送された連続ドラマの半年後を描く。特殊工作員だった過去を隠して専業主婦になった伊佐山菜美(綾瀬はるか)は、ある事件がきっかけで記憶を失っていた。公安警察官で菜美の監視役でもある夫の勇輝(西島秀俊)は名前を変え、彼女とともに海辺の町へ移り住む。新エネルギー源開発の賛成派と反対派が対立する町で、2人は国家レベルの陰謀に巻き込まれていく。

ドラマでは持ち前の戦闘能力を生かして主婦仲間のトラブルを生き生きと解決していた菜美だが、映画では一見、穏やかな日々。記憶がない心もとなさを綾瀬が巧みに演じている。終盤、大柄な外国人などを相手に見せるアクションには切れがあり、見ていて気持ちがいい。共演歴の多い西島との息もぴったりだ。

菜美の過去などドラマ未見の人向けに説明的な部分はあるものの、アクションにサスペンスと夫婦愛というテーマが加わり、爽快な娯楽作に仕上がった。佐藤東弥監督。1時間59分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(倉)

異論あり

テレビドラマを毎週楽しみそのラストにモヤモヤしていた身としては、それらを全てなかったことにするかのような無理のある設定に困惑。関わる事件も映画らしいスケールになり、近所の主婦たちと身近なトラブルを解決していたあの頃にはもう戻れないのだと切なくなった。(久)

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