特選掘り出し!:「ルート29」 優しさと不条理の交錯
「こちらあみ子」の森井勇佑監督が、中尾太一の詩集に想を得て脚本を執筆。「あみ子」の大沢一菜を再び起用した風変わりなロードムービーだ。鳥取で清掃員として働くのり子(綾瀬はるか)は、仕事先の病院の入院患者から「娘を連れてきてほしい」と頼まれる。兵庫・姫路で見つけた小学生のハル(大沢)と一緒に、姫路と鳥取を結ぶ国道29号の旅に出る。 「あみ子」で強烈な印象を残した大沢は2年の間にずいぶん大きくなったものの、群れずこびない異端児がよく似合う。1人で森の中で遊び、初対面ののり子に「おまえは今日からトンボな」(丸眼鏡からの連想?)と言い渡すといった奇矯(ききょう)な言動にも違和感がない。一方綾瀬は、口数...