「Missナイト & Missデイ」

「Missナイト & Missデイ」Netflixシリーズ「Missナイト & Missデイ」独占配信中

2024.8.08

昼間だけ20代から50代になる女性に起こる危機をユーモア全開で描くお仕事ドラマ 「Missナイト & Missデイ」:オンラインの森

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梅山富美子

梅山富美子

もしも突然昼間だけ容姿が変わってしまったら……。Netflixで配信中の韓国ドラマ「Missナイト & Missデイ」(全16話)は、20代の主人公が50代の姿と行き来しながら仕事や恋に奮闘する物語だ。
 

20代と50代の女性、2人1役でチョン・ウンジとイ・ジョンウンが演じる

主人公イ・ミジン(チョン・ウンジ)は、公務員の面接試験に落ち、詐欺に引っ掛かりそうになるなど人生がうまくいかず。さらに、井戸に落ちたことをきっかけに、日の出から日没までの間だけ50代の女性(イ・ジョンウン)に変身してしまうという奇妙な体質となってしまう。
 
必死で元に戻る方法を探すも見つからず、ついにはイム・スンと名乗り、地検のシニアインターンとして働き出すミジン。地検では清掃の仕事をするなか、人気アイドルのコ・ウォン(ペク・ソフ)の危機を救うなど大活躍っぷりで、厳しいとうわさの検事ケ・ジウン(チェ・ジニョク)の元で働き始める。連続失踪事件の謎を追うなか、ミジン(スン)、ジウン、コ・ウォンによる恋の四角(三角)関係もあり、ミジンは仕事に恋に大忙しとなる。
 
昼と夜で姿が変わることで起こる危機をユーモア全開で描く本作。実家暮らしのミジンがスンの姿で両親と鉢合わせしてしまうシーンでは、知らない人が家にいることに驚き撃退しようとする両親と自分の姿に驚愕(きょうがく)しつつも必死に娘であることを主張するミジンの掛け合いが抱腹絶倒。二重(?)生活を送るミジンには、残業、夜に行われる潜入捜査、職場の飲み会など特異体質がバレそうになるピンチが訪れるのだが、彼女流の荒業で乗り越えていくのが回を重ねるごとにクセになっていく。
 

濃いキャラばかりの脇役陣。中でもユン・ビョンヒは影のMVPクラスの活躍ぶり

ミジンの悲喜交々(こもごも)を巧みに演じたスン役のイ・ジョンウンは、舞台出身の俳優で、映画「焼肉ドラゴン」で姉妹の母親役、「パラサイト 半地下の家族」でお金持ち一家の家政婦を演じ、日本でも顔が知られている。ほかにも「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー」「私たちのブルース」など多数のドラマに出演しており、近年の韓国映画とドラマに欠かせないバイプレーヤー。本作でも、コメディーとシリアスの緩急が卓越した演技で笑いと涙を何度も誘い、あらためてその芸達者ぶりを見せつける。
 
わずかなシーンではあるものの本編で美しい美声を披露したミジン役のチョン・ウンジは、ガールズグループApinkのメンバーで、若手俳優の登竜門である「応答せよ」シリーズの「応答せよ1997」(2012年)では、主演を務めたこともある。第7話のカラオケのシーンでは、イム・スンがApinkの「Mr. Chu」を歌うという遊び心あふれるシーンもあった。
 
また、チェ・ジニョクが演じたジウンは、笑わない堅物のエリートというキャラクター。韓ドラあるあるな設定ではありつつも、感情が表に出にくいジウンが後半で好きな人にだけ見せる笑顔の破壊力は抜群で効きまくり。地検でのチュ・ビョンドク捜査官(ユン・ビョンヒ)と繰り広げるコントのようなやり取りに思わずニヤリとしてしまう。
 
ほかにも、「ソンジェ背負って走れ」の母親役が記憶に新しいチョン・ヨンジュ、人気インフルエンサーでミジンの親友役のキム・アヨン、怪しいシニアインターンのチョン・ジェソンと濃いキャラばかり。そのなかでも「ヴィンチェンツォ」などで知られるチュ捜査官役のユン・ビョンヒは、〝影のMVP〟といっても過言ではない活躍ぶり。二枚目を気取りながらも体を張った情けない姿が何度も涙と笑いをもたらしていた。どんな場面も彼がすべて持っていってしまうため、本編の主軸の物語を忘れてしまうこともあるほど強烈な存在感だったことは否めない。
 
コメディータッチではありつつも、お仕事ドラマとして多くの人の背中を押す内容だった本作。ミジンは、就職活動で苦労したものの、公務員試験に向けての勉強の知識やこれまで数々のバイトをやってきたスキルを生かしてシニアインターンで大いに奮闘。ジウンやチュ捜査官のどんなむちゃな要望にも応え、仕事の楽しさを見いだしていく。彼女の積み重ねた努力は無駄ではなかったし、彼女にとって一番大切だったのは本当にやりたいことを見つける、ということだったというのが胸に響く。
 
Netflixシリーズ「Missナイト & Missデイ」独占配信中

ライター
梅山富美子

梅山富美子

うめやま・ふみこ ライター。1992年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後、映像制作会社(プロダクション・マネージャー)を経験。映画情報サイト「シネマトゥデイ」元編集部。映画、海外ドラマ、洋楽(特に80年代)をこよなく愛し、韓ドラは2020年以降どハマり。

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