[アメリカン・フィクション」 ©2023 MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

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2024.3.08

配信チェック:「アメリカン・フィクション」 黒人差別の風刺コメディー

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

第96回米アカデミー賞で、作品賞や主演男優賞など5部門で候補となっている風刺コメディー。モンク(ジェフリー・ライト)は売れない黒人作家。「黒人らしさが足りない」と批判された怒りにまかせ、貧困、ラッパー、銃など典型的な黒人のイメージを盛り込んだ〝白人が読みたがる黒人小説〟を執筆。意に反して出版社が飛びつき、モンクは「逃亡中の指名手配犯」を名乗って一躍注目を浴びる。母親の介護費用が必要なモンクは正体を明かすこともできず、いやいや〝白人が求める黒人〟を演じなければならなくなって……。

米国の黒人差別を巡る錯綜(さくそう)した状況を背景に、黒人の悲劇を題材とした作品を免罪符として消費する白人社会、売れればOKの出版界、型にはまったものに安心して思考停止する大衆などなど、まとめてなで切りに。返す刀で「黒人には他に語るべき物語があるはずだ」と力むモンクの逆差別意識もバッサリ。モンクがギクシャクしていた家族との関係を見つめ直す人間ドラマにもなっている。ひねりの利いた笑いをちりばめた、よくできた一作。ちょっと前なら日本でも劇場公開されたろうが、現状ではこの手の小品の興行は一番難しい。アマゾンプライムビデオで配信中。コード・ジェファーソン監督。1時間58分。(勝)

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