「コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話」 ©2022 Vintage Park, Inc. All rights reserved.

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2024.3.22

「コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話」 実在の地下団体の活動を今に伝える

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

1968年の米シカゴ。裕福な家庭の主婦ジョイ(エリザベス・バンクス)が2人目の子供を妊娠し、その影響で心臓の病が悪化してしまう。医師に中絶を拒否されて途方に暮れたジョイは、わらにもすがる思いで秘密の中絶手術を提供する活動団体〝ジェーン〟を頼ることに。

今なおアメリカの世論を二分する人工妊娠中絶問題を扱ったヒューマンドラマである。まだ中絶の権利が認められていなかった時代に、約1万2000人の女性に救いの手を差しのべたという実在の地下団体ジェーンの活動を今に伝える。世間知らずで何一つ不自由のない生活を送っていた主人公が、自らもジェーンの一員となり、社会意識に目覚めていく姿を描出。その変化を体現したバンクスの繊細な感情表現、ジェーンのリーダーにふんしたシガニー・ウィーバーの頼もしい存在感が映画をけん引していく。社会における女性の不平等を扱った近年の作品には先鋭的な作風のものも目につくが、本作の正攻法の語り口は柔らかでぬくもりが感じられる。フィリス・ナジー監督。2時間1分。東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪・なんばパークスシネマほか。(諭)

ここに注目

女性が自分の体を守るための選択肢を持てない理不尽な現実は、残念ながら今も残る。驚かされたのは、医師免許のない主人公がトレーニングをして中絶手術をする側になるという行動力。仏映画「あのこと」などでも描かれた切実な問題を、エンターテインメント性のある作風で描いたところが新鮮だ。(細)

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