ひとしねま

2023.10.06

チャートの裏側:続編は?中途半端な終了

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

ちょっとした問題作である。かわぐちかいじ原作の「沈黙の艦隊」だ。核弾頭搭載の可能性がある米軍の潜水艦を、日本人艦長たちが乗っ取る。この設定が問題作というのではない。作り方、公開の仕方が、これでよかったのか。映画を見終わった最初に、そのことを感じた。

本作は中途半端な形で終わる。続編以降が前提のような話の展開を持つ。原作ファンなら、長大なコミック原作を映画1本にまとめる困難さは認識できるだろう。ところが、映画は続編もシリーズ化も明白ではない作品として公開された。本編に入る前の序章的な作品に、戸惑う観客もいるのではないか。

もし、続編やシリーズ化が企画の発端にあるなら、初めからそれをうたってもよかったと思う。そうであれば、見る側にも気持ちの余裕、整理ができる。そうでなければ、なおさら本作の作り方の意味が分からなくなってしまう。これは、あくまで映画版を前提にした話である。

たた、さすがというところはある。スケールが大きく、核問題を扱う原作の実写化を実現させたことだ。核弾頭の有無をめぐる攻防戦は迫力がある。製作は動画配信大手で、邦画大手ではない。高額な製作費などで、邦画大手は手を出しづらい。だから、逆にもったいないと思う。最終の興行収入は、15億円を超えるかどうかあたりだろうか。(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

関連記事

新着記事