「コヴェナント/約束の救出」 © 2022 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

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2024.2.16

「コヴェナント/約束の救出」 米軍曹長とアフガン人通訳の友情と約束

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

2018年、アフガニスタン。米軍のジョン・キンリー曹長(ジェイク・ギレンホール)はタリバンの武器や弾薬の隠し場所を捜す部隊を率いていた。アフガン人のアーメッド(ダール・サリム)を通訳に雇い、爆発物製造工場を突き止めることに成功。しかしタリバンの襲撃で部隊は壊滅状態となり、キンリーも瀕死(ひんし)の傷を負う。そんな彼を運びながら敵の目をかいくぐり、山の中を歩き続けて命を救ったのはアーメッドだった。

米軍に協力したアフガン人通訳のドキュメンタリーを見たことを契機にガイ・リッチー監督が撮った社会派ドラマ。一度は帰国したキンリーは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しみながらも、米国のビザを必要とするアーメッドを探すために再びアフガンへ向かう。リッチーは持ち味の軽妙な作風を封印。けれども男同士の友情と約束という題材は、監督との親和性の高さを感じさせる。終盤の展開は米国側の正義が強調されているように感じたが、今なお続くアフガンの現実を知るためにも有効な一本だ。2時間3分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(細)

ここに注目

恩返しの発想は日本人にはなじみ深く、絆を大切にし約束を守るという現代では軽視されがちな価値観を共有したキンリーとアーメッドの関係に胸が熱くなった。一方、多くのアフガニスタン人通訳が直面したであろう厳しい現実を思うと、今作を単純なエンタメとして消費してはならないと感じた。(倉)

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