「対外秘」

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2024.11.15

「対外秘」 緊迫感途切れぬ金と権力の闘争劇

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

1992年、盧泰愚(ノテウ)政権下の韓国・プサン。政治家ヘウン(チョ・ジヌン)は党公認候補として国政選挙に出馬予定だったが、政界を裏で支配する黒幕スンテ(イ・ソンミン)は、自身の言いなりになる男に公認候補を代えてしまう。激怒したヘウンは、リベンジを果たすべく国を揺るがす極秘文書を入手。ヤクザのピルド(キム・ムヨル)と組み選挙資金を得て無所属で出馬する。

政治家、ヤクザ、フィクサー、検事、役人、記者らによる金と権力の闘争劇。二転三転するドラマは緊迫感が途切れず、多くの人物が登場するにもかかわらず、駆け引きも分かりやすくスピーディーな展開で見せる。不正な選挙や密約、暴力組織の介入など政治ドラマのエッセンスをテンポよくはさみ込み、へウンら主要人物の蛮行を含めた人間臭さもたっぷり。歴代大統領が次々と逮捕されてきた韓国政界の裏事情の一端を、一地方を舞台に見せた。極秘文書の正体についてもう一ひねりほしかったが、政治エンタメとして十分楽しめる快作だ。「悪人伝」のイ・ウォンテ監督。1時間56分。東京・シネマート新宿、大阪・キノシネマ心斎橋ほか。(鈴)

ここに注目

現実でも映画でも、選挙は面白い。日本でも山本薩夫監督の「金環蝕」(1975年)や「善人の条件」(ジェームス三木監督、89年)、はたまた「決戦は日曜日」(坂下雄一郎監督、2022年)などなど、喜劇も風刺劇も、けっこうハズレなし。本作はスリラー調で、アクの強さが韓国らしい。(勝)

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