「エッフェル 塔創造者の愛」 © 2021 VVZ Production – Pathé Films – Constantin Film Produktion – M6 Films..jpg

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2023.3.03

「エッフェル塔~創造者の愛~」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

ニューヨークの自由の女神の制作に参加したことで、名声を得たギュスターブ・エッフェル(ロマン・デュリス)。1889年のパリ万国博覧会に向けて、シンボルとなるモニュメントを造ることになる。その決意の裏側にはかつて愛し合い、今は人妻となったアドリエンヌ(エマ・マッキー)の存在があった。

エッフェル塔が完成するまでの道のりに、再会した元恋人をめぐるフィクションを織り交ぜた作品。今やパリを象徴する塔だが、建造時には住民のみならずバチカンからも反対の声が上がったことや賃上げを要求する作業員たちとのやりとりなど、いくつもの困難があった。過去と現在を行き来しながら描かれる身分違いの恋は情熱的で生命力にあふれ、ロマンチック。

当時の技術や労働者たちの尽力で可能になった建造の裏側と、信念を貫いて難題をクリアするエッフェルの人物像が興味深い。そちらを掘り下げてほしかったと、消化不良感も残った。マルタン・ブルブロン監督。1時間48分。東京・新宿武蔵野館、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(細)

異論あり

熱烈なラブストーリーとエッフェル塔建設という大きな二つの筋立てを、どちらも背景にせず力技で撮りきった。が、塔に関心がなかったエッフェルの心の変化や続出する難問への対処方法が分かりづらく、やや消化不良のまま。より大胆な仮説で押し切った方が納得できたのでは。(鈴)

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