「丘の上の本屋さん」 ©2021 ASSOCIAZIONE CULTURALE IMAGO IMAGO FILM VIDEOPRODUZIONI.

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2023.3.03

「丘の上の本屋さん」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

イタリア中部の風光明媚(めいび)な村。丘の上の小さな古書店が舞台だ。老店主のリベロ(レモ・ジローネ)は、店先で本が買えずに眺めていたブルキナファソからの移民の少年エシエンに声をかける。リベロはコミックから児童文学、小説、専門書と貸し与えていく。好奇心旺盛なエシエンは都度感想を述べ、知識やものの見方を身につけていく。

本を通じて深まる老人と少年の友情が心地よい。物語はシンプルで緩いが、本を読む楽しさ、本から学ぶこと、そして本を読んで考えることの大切さがストレートに響いてくる。隣のカフェで働く青年とリベロの会話、古書店に本を探しにくる少し風変わりな連中からも人の営みやにおいがする。リベロが読み進める本に挟んであった若い女性の日記も、物語のように人生の味わいが立ちこめる。終盤にリベロがエシエンに贈る本に驚き、すぐにうなずく。本と読書、生きることへの愛情に満ちた好編である。クラウディオ・ロッシ・マッシミ監督。1時間24分。東京・シネスイッチ銀座、大阪ステーションシティシネマほか。(鈴)

ここに注目

それぞれの背景を持つお客さんがやって来る本屋を、優しく定点観測する視点が心地いい。石造りの歴史ある街並みが美しく、この村の日常をずっと見続けたくなる。アップで捉えられた、移民の少年の未来への希望を感じさせるキリリとした表情が、鮮やかに心に残った。(細)

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