「弟は僕のヒーロー」 ©COPYRIGHT 2019 PACO CINEMATOGRAFICA S.R.L. NEO ART PRODUCCIONES S.L.

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2024.1.12

「弟は僕のヒーロー」 ダウン症の弟をめぐる思春期の葛藤を温かく見守る

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

北イタリアの小さな村に住むジャック(フランチェスコ・ゲギ)は、ダウン症の弟ジョー(ロレンツォ・シスト)のことが大好きだったが、弟の世話を重荷に感じるようになり、村から離れた都会の高校に入学する。同級生に一目ぼれしたジャックは彼女や学校の仲間にジョーの存在を隠し、残酷なうそをつく。それはやがて家族や周囲を巻き込む大騒動に発展していく。

2015年、イタリアの高校生がダウン症の弟を主人公にした5分半のショートムービーをユーチューブで公開。反響を受け自分と弟の小説を執筆すると各国で翻訳され、日本でもベストセラーに。そんな人気作を長編初監督のステファノ・チパーニが温かい物語に仕上げた。

子どもではないけれど大人でもない。思春期という微妙な年ごろに差し掛かったジャックが心の奥の葛藤と向き合い、大人へと脱皮していく過程は多くの共感を呼びそう。子どもたちを愛情深く見守る両親の存在が素晴らしく、何より家族に揺るぎない愛を示すジョーに心打たれた。シストの生き生きとした演技も必見。1時間42分。東京・シネスイッチ銀座、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(倉)

ここに注目

いたってシンプルな物語で、それぞれの感情の揺れを丁寧にすくい取った。目を背けたくなるような問題を、声高に糾弾するのではなく、悲嘆するばかりでもない。「分かる、分かる」という形で見せていて、その有効性を痛感。障害者へのまなざしに変化を生み出す作品に仕上がっている。(鈴)

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