ディズニープラスで独占配信中の「ピーター・パン&ウェンディ」

ディズニープラスで独占配信中の「ピーター・パン&ウェンディ」

2023.5.26

配信チェック:「ピーター・パン&ウェンディ」 意外に分厚い〝人間ドラマ〟

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

2020年、日本に上陸した米国の定額制動画配信サービス「ディズニープラス」の新作。言わずと知れた空飛ぶ少年、ピーター・パンの物語だ。70年前のアニメ映画が特に有名だが、今作は実写である。

英国・ロンドンのある夜。ウェンディ(エバー・アンダーソン)と弟たちが住む家に、ピーター・パン(アレクサンダー・モロニー)がやってきた。彼の導きで、ウェンディらは「ネバーランド」へ。そこには海賊船を率いるフック船長(ジュード・ロウ)が待ち受けていた……。

〝定番〟の展開かと思って見始めると、ちょっと驚く。まず妖精ティンカー・ベルを演じるのが、有色人種の俳優ヤラ・シャヒディ。そして、ピーターとフック船長には、単なる「敵」同士の関係で語りきれない因縁があるらしい。アニメのポップな雰囲気とは違う、意外に分厚い「人間ドラマ」があるのだ。

その人間ドラマの中心にいるのは、ウェンディ。「大人になりたくない」彼女が、困難に立ち向かう成長物語でもある。夢の国の話のはずが、現実味を持って迫ってくる。

全世界で、配信のみの公開。派手なアクションシーンも多いが、「映画館の大画面」でなくても楽しめるという自信の表れなのか。デビッド・ロウリー監督。1時間46分。ディズニープラスで独占配信中。(屋)