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2025.2.28

「TATAMI」 政治とスポーツの関係を描き出すサスペンス

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

ジョージアで開催中の女子世界柔道選手権。イラン代表選手のレイラ(アリエンヌ・マンディ)と監督のマルヤム(ザーラ・アミール)は、金メダルを目指して勝ち進んでいた。しかし敵対国であるイスラエルの選手との対決を避けるため、政府から棄権することを命じられる。

実際に起こった事件を基に、政治とスポーツの関係を描き出したサスペンス。試合をする権利を奪われるだけではなく、家族にも危険が迫り来る。そんな状況下で、レイラは政府の要求通りにケガを装って棄権するのか、それとも異なる選択をするのか。闇を引き立てるかのごとくモノクロ映像のコントラストは大きく、レイラの決断をめぐる物語の緊張の糸は、最後まで切れることはない。

監督はガイ・ナッティブと、マルヤム役で出演もしているアミール。イスラエルとイランにルーツを持つ監督が初めて共同監督した点でも意義は大きい。公開中の「聖なるイチジクの種」と同様に、理不尽な現実に直面した女性たちの戦いを描いた骨太なエンターテインメントだ。1時間43分。東京・新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマほか。(細)

ここに注目

男子柔道の実話に基づく物語を、選手や監督、団体の責任者まで女性が演じたのは、国家権力に立ち向かう女性の勇気や反骨精神を表現したかったからだろう。ヒジャブに端を発した2022年のマフサ・アミニ事件など、女性の人権や自由への主張が背景にあるのは明らかだ。(鈴)

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