「THE DAYS」 本部で事故対応の指揮を執る所長(役所広司)

「THE DAYS」 本部で事故対応の指揮を執る所長(役所広司)

2023.7.28

配信チェック:「THE DAYS」 事実をアレンジし〝現実〟を

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

今年のカンヌ国際映画祭で男優賞に輝いた俳優、役所広司が主演。映画だけでも多忙なはずだが、テレビドラマにも出演し続け、存在感を示しているのが彼のすごさだ。本作は、配信オリジナルの連続ドラマ。6月から全8話が配信されている。

物語の舞台は2011年。大地震が発生し、福島第1原発を津波が襲う。原子炉は冷却機能を喪失。原発の所長である吉田(役所)は未曽有の事態の中、できうる限り冷静に、時にいらだちを隠せずに、職員に対処を指示する。その混乱やいらだちの状況は、東京の電力会社本店も日本政府も同じだった。

「事実に基づく物語」で、事実をそのまま描きもするし、アレンジもする。電力会社の名は「東央電力」で、小日向文世が演じる東真司首相も架空の名前。役人や「東電」の職員はまともな事態の報告ができずに慌てふためき、首相は怒り狂う。原発の作業員らが命の危機にひんする場面も。サスペンスやアクション映画並みに「見せ場」をちりばめる。

そうして最終話「日本崩壊のシナリオ」まで追うと、ほんの12年前にこの国が陥っていた危機に息をのむ。役所が演じる吉田から「現実を知り忘れないでほしい」と強く突きつけられている気持ちになった。

西浦正記、中田秀夫監督。ネットフリックスで独占配信中。(屋)

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