「シャドウ・イン・クラウド」

「シャドウ・イン・クラウド」

2022.12.22

2022年総決算 ゆく年編 村山章

2022年も残りわずか。たくさんの作品が公開、配信されました。7月の上半期総決算に続いて、ひとシネマ執筆陣が1年を総まくり、「ゆく年」編は22年の10本を選出しました。返す刀の「くる年」編で、23年の期待作も紹介します。題して「ひとシネマ的ゆく年くる年」。年末年始の鑑賞ガイド、新年のカレンダーとしても、ご活用を。

村山章

村山章

「デュアル」(ライリー・スターンズ監督)
「シャドウ・イン・クラウド」(ロザリン・リャン監督)
「NOPE」(ジョーダン・ピール監督)
「ホワイト・ノイズ」(ノア・バームバック監督)
「LOVE LIFE」(深田晃司監督)
「RRR」(S.S.ラージャマウリ監督)
「プリンセス・ダイアナ」(エド・パーキンズ監督)
「キングメーカー 大統領を作った男」(ビョン・ソンヒョン監督)
「バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー」(フィリップ・ラショー監督)
「峠 最後のサムライ」(小泉尭史監督)


思ってたのと違う!

ひとシネマでは「オンラインの森」コーナーで配信作品を紹介しているので、あえて劇場公開作に限定して10本選びました。
 
カレン・ギランが1人2役でクローンの自分と決闘するという触れ込みの「デュアル」が実はアクション映画ではなく哲学的なブラックコメディーだったように、どれもいい意味で「思っていたのとは違う驚きがあった作品」です。
 
次点として挙げておきたいのは「さかなのこ」「とら男」「林檎とポラロイド」「セイント・フランシス」などなど。「峠 最後のサムライ」は侍というものへの過剰な憧憬(しょうけい)など気になる部分はあるものの、嵐が来る前の静かな黄昏(たそがれ)どきを描いた穏やかな寂寥(せきりょう)感が捨てがたく、また今の日本の写し絵のようでもありました。

ライター
村山章

村山章

むらやま・あきら 1971年生まれ。映像編集を経てフリーライターとなり、雑誌、WEB、新聞等で映画関連の記事を寄稿。近年はラジオやテレビの出演、海外のインディペンデント映画の配給業務など多岐にわたって活動中。