ごく普通の日常生活を営む私たちの上に、空から硫酸のような雨が降ってきたとしたら…。監督は、2020年のNetflixオリジナル映画「群がり」で長編デビューし、本作が2作目となるジュスト・フィリッポ。2018年に発表した自身の短編をベースに長編映画化した。人間の弱さやもろさをさらけ出しながら、〝殺人雲〟から家族を守り抜こうと奮闘する主人公ミシャルを演じるのは、「冬時間のパリ」（2018年）や「ベル・エポックでもう一度」（19年）などのギヨーム・カネ。「若い女」（17年）でセザール賞有望若手女優賞にノミネートされ、「シンプルな情熱」（20年）の演技でも注目されたレティシア・ドッシュが、ミシャルの元妻エリーズを演じている。

異常な猛暑に見舞われたフランスに、あらゆるものを焼き尽くすように溶かす強酸の雨を降らせる雲が現れる。北部の地方都市アラスに住む中年男性ミシャルと元妻エリーズは、寄宿学校に預けていた10代の娘セルマをからくも救出するが、フランス全土は大勢の市民の命が奪われ大混乱に陥る。ベルギーへの国境を超えた地点で車を失ったミシャルらは、安全な避難場所を探し求めてあてどなく歩き続けるが、その行く手には凄まじい群衆パニックと、再び降り出した酸性雨の恐怖が待ち受けていた。

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