世界に衝撃を与えた2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻。ウクライナ東部に位置するドンバス地方は、13年から14年のマイダン革命に端を発した親ロシア分離派とウクライナ系住民との紛争が絶え間なく続いているが、マリウポリは、侵攻したロシア軍によって包囲され、砲撃によって街は廃墟と化した。「Mariupolis」（16年・日本未公開）を発表し、同地の人々の日々の営みを記録しているリトアニア出身のドキュメンタリー監督マンタス・クべダラビチウス監督は、侵攻間直後の3月に現地入りし、破壊を免れた教会に避難している市民らと共に生活しながら撮影を開始。死と隣り合わせの市民の日常の姿をカメラに収めた。

しかし、取材開始から数日後の3月30日、クべダラビチウス監督は同地の親ロシア分離派に拘束され、殺害された。本作は、助監督だった監督のフィアンセによって撮影済み素材が確保され、遺志を継いだ製作チームが完成させた。第75回カンヌ国際映画祭ドキュメンタリー審査員特別賞、ヨーロッパ映画賞・ドキュメンタリー賞を受賞。

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