〝考えることは罪なのか〟台湾初となる女性政治犯を扱った本作は、台湾国民政府による恐怖政治下で戒厳令が敷かれていた「白色テロ」の時代を背景に、台湾南東岸に位置する面積約16平方キロの緑島に置かれていた、政治犯収容を目的とした教育施設と監獄が舞台。タイトルの「流麻溝十五号」は、当時、政治思想犯として身分も年齢も違う女性たちが収容されていた場所の住所である。監督は、ジェンダー平等の視点から数々の作品を手掛けてきた周美玲(ゼロ・チョウ)。出演は、高校生・余杏惠(ユー・シンホェイ)を演じたのはシンガーソングライターとしても活動する余佩真(ユー・ペイチェン)。モダンダンサー・陳萍(チェン・ピン)を連俞涵(リェン・ユーハン)、一児の母で看護師でもある嚴水霞(イェン・シュェイシア)を「彷徨う花たち(原題:漂浪青春)」(2008年)で映画初出演、女優業にとどまらず、監督、脚本家、作家としても活躍する徐麗雯(シュー・リーウェン)が演じている。
自由を口にすればすぐに捕まる時代。罪を課せられた者は、思想改造および教育・更生のため緑島に収監されていた。連行された者たちは、名前ではなく番号で呼ばれ、囚人として「新生訓導処」に監禁、重労働を課せられる日々を送ることになる。そんな島にいたのは、絵を描くことが好きな高校生・余杏惠(ユー・シンホェイ)。ひとりの子どもが生まれて間もなく投獄された正義感の強い、看護師・嚴水霞(イェン・シュェイシア)。妹を拷問から守るため自首して囚人となった陳萍(チェン・ピン)。次々と迫る不条理に対しても思考は止めず、台湾語、北京語、日本語などあらゆる言語を駆使しながら一日一日を生き延びようとする。
「流麻溝十五号」©thuànn Taiwan Film Corporation
公開日: 2024年07月25日
流麻溝十五号
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原題:流麻溝十五號
2021年 /台湾 /112分 /G
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公式サイト: https://ryumako15.com/
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