2023年のサンダンス映画祭でワールド・シネマ・ドラマ部門の審査員大賞を受賞した本作で、長編デビューを飾ったのは、1994年生まれの新鋭シャーロット・リーガン監督。一人で生きる12歳の少女のもとに音信不通だった父親が突如現れたことから始まる共同生活を描いた本作は、リーガン監督のミュージックビデオでのキャリアを活かしたビジュアルセンスや、映像と音楽の親和性、ドキュメンタリー風の映像などで、親子が衝突しながらも心を通わせていくプロセスをじっくりとエモーショナルに見せた。主演は、本作がスクリーンデビューとなるローラ・キャンベル。たくましさと可憐さが共存した演技で、ロンドン映画批評家協会賞若手俳優賞を受賞した。不器用な父親ジェイソンを「キングスマン:ファースト・エージェント」(2021年)や「逆転のトライアングル」(22年)、「アイアンクロー」(23年)など、話題作への出演が続くハリス・ディキンソンが演じている。
亡くなった母との思い出が詰まったロンドン郊外のアパートで独り暮らしをしている12歳の少女ジョージー(ローラ・キャンベル)は、大人顔負けの話術と図太さで、「おじと住んでいる」ふりを装いながら、親友のアリと盗んだ自転車を転売して日銭を稼ぎながらたくましく生きていた。だが夜になると、母が遺したスマホに収められたホームビデオを再生して孤独と哀しみを耐える日々だ。そんなジョージーのもとにある日突然、父だと名乗る男ジェイソン(ハリス・ディキンソン)が現れる。12年越しの共同生活も、ジョージーは母を捨てて逃げた父を許せず、2人の距離はなかなか縮まらない。それぞれに秘密を抱えた2人だったが、自転車を盗もうとして警官に見つかり、2人で逃げるという共通経験をしたことで、急速に打ち解ける。母の思い出を共有したり、ハマっているダンスを伝授したり…。しかし、ある事件がおきた翌朝、「俺が悪かった」という手紙を残し、ジェイソンがいなくなっていた。
© Scrapper Films Limited, British Broadcasting Corporation and the The British Film Institute 2022
公開日: 2024年07月04日
SCRAPPER/スクラッパー
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原題:Scrapper
2023年 /イギリス /84分 /PG12
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公式サイト: https://scrapper.jp/
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