2021年に日本公開された「モロッコ、彼女たちの朝」(2019年)で、臨月の未婚女性というモロッコのタブーを取り上げたマリヤム・トゥザニ監督が、民族衣装のカフタンを作る仕立て屋を舞台に、男性の生きづらさを生むモロッコ社会のタブーに再び踏み込んだ本作。戒律と法律によって異性愛しか許されないモロッコ社会で、真の自分を隠して生き、伝統を守る仕事を愛しながら苦悩する男が主人公。愛したい人を愛し、自分らしく生きることを美しい物語に昇華させた本作は、2022年カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した。
出演は「モロッコ、彼女たちの朝」(2019年)のルブナ・アザバル。死期が迫るなか最期の瞬間まで夫に愛と勇気を捧げる妻ミナを演じる。ミナとの別れを受けとめきれずに立ちすくむハリムは、「迷子の警察楽隊」(2007年)のサーレフ・バクリ。夫婦の愛にさざ波を起こす助手のユーセフは、本作が映画初出演のアイユーブ・ミシウィが演じる。
父から受け継いだ仕立て屋で、極上のカフタンを製作する職人のハリム。夫を支えるのは接客担当の妻ミナ。25年間連れ添った2人に子どもはいなかった。余命わずかなミナは、夫を1人残すことが気がかりだったが、筋がよく、ハリムの美意識に共鳴する助手のユーセフの登場に嫉妬心を抱いてしまう。湧き出る感情をなだめるように、ミナは夫に甘えるようになった。命尽きる瞬間まで夫を愛し支え続けたミナ。彼女の遺言によって、ハリムは長年苦しられてきた呪縛から解き放たれる。
© Les Films du Nouveau Monde - Ali n’ Productions - Velvet Films – Snowglobe
公開日: 2023年06月15日
青いカフタンの仕立て屋
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原題:THE BLUE CAFTAN
2022年 /フランス、モロッコ、ベルギー、デンマーク /122分
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公式サイト: https://longride.jp/bluecaftan/
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