「キエフ裁判」は、第二次世界大戦の独ソ戦で、ナチ・ドイツとその協力者によるユダヤ人虐殺など、戦争犯罪の首謀者を断罪した国際軍事裁判。1946年1月、ナチ関係者15名が人道に対する罪を問われた裁判は、身代わりを申し出る母から無理やり幼子を奪いその場で射殺し、生きたまま子供たちの血を抜き焼き殺すという数々の残虐行為が明るみになる。被告人弁論ではありがちな自己弁明に終始する者、仲間に罪を擦りつける者、やらなければ自らも殺されたと同情を得ようとする者と、その姿にハンナ・アーレントの〝凡庸な悪〟が露わになる。アウシュビッツやバビ・ヤールの生存者による未公開の証言も含み、「ニュルンベルク裁判」と「東京裁判」に並ぶ戦後最も重要な軍事裁判の記録。
「戦争」をテーマにしたロズニツァの新作アーカイバル・ドキュメンタリーを上映する「セルゲイ・ロズニツァ《戦争と正義》ドキュメンタリー2選」で、「破壊の自然史」(2022年)と同時上映。ふたつの作品を通じて、第二次世界大戦の終結と戦争責任を問う二つの「正義」に着目し、戦争における当事者の正当性ではなく、普遍的倫理について考える。
公開日: 2023年08月11日
キエフ裁判
監督 :
原題:The Kiev Trial
2021年 /オランダ、ウクライナ /106分
配給 :
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