Sergey Loznitsa
1964年9月04日 生まれ
監督「ドンバス」(2018年)
「セルゲイ・ロズニツァ」記事件数
2014年にウクライナからの「独立」を宣言し、親ロシア勢力の支配下にある東部ドンバス。そこでの出来事を点描する、エピソード集の趣だ。映画はフィクションでロシアによる侵攻前なら見え方も違ったろうが、現在の情勢と照らし合わせれば、抑圧と暴力が日常と化した生活と、精神の荒廃が生々しく伝わってくる。 バスの中でメークを施された役者たちが、兵士に促されてカメラの前で証言する。フェイクニュースの収録なのだ。あるいは地下シェルターの中で、避難した人々が湿気と不自由な生活を訴える。通りではウクライナ義勇軍の捕虜がさらし者にされ、道行く人たちの罵声を浴びる。詳しい説明はなく、風景と人々を淡々と映し出すだけ。デ...
2022.5.27
政治権力とは何でしょうか。つきつめていえば、権力とは、相手がそんな行動を取る意思がない場合であっても、相手に何らかの行動をさせることとして定義することができるでしょう。いや、厳密に言えば、行動させるだけでなく、何らかの行動をさせないことも含まれますね。 でも、普通私たちはそんな学者の定義にかかわりなく生きている。法の支配がある限り、権力行使には制限が加えられているからです。警官、あるいは官僚には相手に行動を強いることが認められていますが、それはあくまである範囲の中でのこと。法によって認められた範囲を超えた権力の行使は違法ですし、裁判に訴えることができるわけです。無制限な権力行使は法の支配の...
藤原帰一
2022.5.23
欧州連合(EU)各国の最新の話題作、秀作を集めた「EUフィルムデーズ2023」が6月2日、東京・京橋の国立映画アーカイブで開幕する。日本未公開の作品を中心に、なかなか見ることができない国の最新作もそろえたヨーロッパ映画の大規模な特集上映だ。今年は開催20周年の節目となり、昨年に続きEU加盟全27カ国が参加。東京・京都・広島・福岡の4会場を巡回する。今回は昨年加盟候補国となったウクライナの「ルクセンブルク、ルクセンブルク」など2作品を特別上映するのも目玉の一つ。EU加盟前の国の作品を上映するのは極めて珍しい。 世界中の人たちに共通するテーマ 今回のコンセプトは「映画でつながる、ヨーロ...
鈴木隆
PR パンドラ
2023.5.31
1991年8月19日。ペレストロイカに反対する国家非常事態委員会を名のる共産党保守派がゴルバチョフ大統領を軟禁し軍事クーデターを宣言した。モスクワで起きた緊急事態にレニングラードの街中は困惑した市民で溢れかえった。人々は断片的な情報が流れるラジオ放送に聞き入る。本作はレニングラード・ドキュメンタリー映画スタジオの8名のカメラマンが混乱する市中に紛れ撮影した映像を、同スタジオの所属だったセルゲイ・ロズニツァが時を経て手にし、3日間で終わった「ソ連8月クーデター」に揺れながらもロシアの民主主義のため決起したレニングラードを再構成する。 公開:2023年1月21日 配給:サニーフィルム ©️Ato...
ゆるぎない信念と交渉力でゴルバチョフ政権と戦った、初代リトアニア最高会議議長ビータウタス・ランズベルギスが語る熾烈な政治闘争と文化的抵抗の記録。 1989年から1991年にかけて起きたリトアニア独立運動の中心人物、ヴィータウタス・ランズベルギス。バルト三国の小国リトアニアは、いかにしてソビエト連邦に“非暴力”で勝利することができたのか。異才セルゲイ・ロズニツァが放つ全編248分の長編ドキュメンタリー。 公開:2022年12月3日 配給:サニー・フィルム ©️Atoms Void...
ウクライナ東部のロシア支配地域。俳優を使ったフェイクニュースの撮影が行われ、病院への支援物資は横流しされ、軍は民間人から車を一方的に徴用する。独裁政権による弾圧と無法行為を淡々と描く。 ©︎MA.JA.DE FICTION / ARTHOUSE TRAFFIC / JBA PRODUCTION / GRANIET FILM / DIGITAL CUBE...