第二次世界大戦末期、連合軍はイギリス空爆の報復として敵国ドイツへ「絨毯爆撃」を行った。連合軍の「戦略爆撃調査報告書」によるとイギリス空軍だけで40万の爆撃機がドイツの131都市に100万トンの爆弾を投下し、350万軒の住居が破壊され、60万人近くの一般市民が犠牲となったとされる。本ドキュメンタリーは、軍事力で罪のない一般市民を襲った人類史上最大規模の大量破壊を描く。人間の想像を遥かに超えた圧倒的な破壊を前に、想起する心を折られた当時のドイツ文学者たちと、ナチス・ドイツの犯罪と敗戦国としての贖罪意識によって、この空襲の罪と責任について戦後長い間公の場で議論することが出来なかった社会について考察したドイツ人作家W.G.ゼーバルトの「空襲と文学」へのアンサー的作品。
「戦争」をテーマにしたロズニツァの新作アーカイバル・ドキュメンタリーを上映する「セルゲイ・ロズニツァ《戦争と正義》ドキュメンタリー2選」で、「キエフ裁判」(2022年)と同時上映。ふたつの作品を通じて、第二次世界大戦の終結と戦争責任を問う二つの「正義」に着目し、戦争における当事者の正当性ではなく、普遍的倫理について考える。
公開日: 2023年08月11日
破壊の自然史
監督 :
原題:The Natural History of Destruction
2021年 /ドイツ、オランダ、リトアニア /105分
配給 :
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