止まらぬ資本の支配と弱者の排除「不正を告発するのが映画の役割」 「バティモン5 望まれざる者」ラジ・リ監督
「レ・ミゼラブル」(2019年)がカンヌ国際映画祭審査員賞、セザール賞作品賞など絶賛されたラジ・リ監督の新作「バティモン5 望まれざる者」。労働者階級の移民家族が多く住むパリ郊外の団地群を舞台に、強硬手段で一掃をもくろむ「行政」と反発する「住人」の衝突を描いた。夏季五輪目前のパリが抱える〝暗部〟は「他国のこと」とは言えないリアルな社会のゆがみを突き付けている。 移民の家族が多く暮らすパリ郊外の一画、通称バティモン5。再開発のために老朽化した団地の取り壊し計画が進められていた。臨時市長となった医師のピエールは治安改善を理由に計画を一気に進めようとする。一方、移民たちのケアスタッフとして働くアビ...
鈴木隆
2024.6.04