Jeanne Balibar
1968年4月12日 生まれ
「レ・ミゼラブル」(2019年)「幻滅」(2021年)「バティモン5 望まれざる者」(2023年)「ボレロ 永遠の旋律」(2024年)
1928年のパリ。スランプに陥っている作曲家のモーリス・ラベル(ラファエル・ペルソナ)は、ダンサーのイダ・ルビンシュタイン(ジャンヌ・バリバール)から、新作バレエの音楽を依頼される。 冒頭、ジャズやロック調などさまざまな演奏が流れることからも分かるように、「ボレロ」は世界中で愛されている。このクラシックの名曲はいかにして生まれたのか。「ココ・アヴァン・シャネル」など実話を基にした作品を手がけてきたアンヌ・フォンテーヌ監督が、時系列をパズルのように組み替えながら、ラベルの人生と苦しみのもとともなった創作の秘密に迫った。 工場の機械の規則的な音が、反復するリズムのインスピレーションの源になった...
2024.8.09
ラベルの作品の中で、最も上演されているのは「ボレロ」であることは間違いない。オーケストラ・コンサートで演奏されるだけではなく、本来の形のバレエとしても、数限りなく取り上げられている。 しかし、「ボレロ」はラベルの中でも、形式、旋律、リズム、管弦楽法のどれを取っても極めて異色。その異色たる理由に題材を見いだして、ラベルの人生を描き出し、一編の詩的な優れた映画を作り出したアンヌ・フォンテーヌ監督はただものではない。「ボレロ 永遠の旋律」は、さまざまなラベルの作品を用いながら、主題は「ボレロ」一作に絞り込んでいる。 同じテーマを17回 異質形式を生んだのは…… 事実としてのラベルの...
梅津時比古
2024.8.08
スイスの壮大な山々と湖畔に囲まれたホテルを舞台に、息子への献身的な愛と現実逃避の夢の間で揺れる女の姿を描く大人の恋愛映画。監督・脚本は、ファッションデザイナーとして活躍したのちに本作が長編デビュー作となるマキシム・ラッパズ。「バルバラ セーヌの黒いバラ」(2017年)でセザール賞主演女優賞に輝き、「ボレロ 永遠の旋律」(24年)では圧巻のダンスを披露したジャンヌ・バリバールが主人公のクローディーヌを演じる。 スイスアルプスをのぞむ小さな町で、障がいのある息子をひとり育てる仕立て屋のクローディーヌ。毎週火曜日、彼女は白いワンピースを着て山の上のリゾートホテルに向かい、その場限りのアバンチュール...
パリ・オペラ座での初演以来、時代を越えて世界中で愛され続けている名曲「ボレロ」の誕⽣秘話を描いた音楽映画。監督は「ドライ・クリーニング」(1997年)でべネチア国際映画祭⾦オゼッラ賞に輝き、「ココ・アヴァン・シャネル」(2009年)や「夜明けの祈り」(16年)でセザール賞にノミネートされたアンヌ・フォンテーヌ。主⼈公ラヴェルを演じるのは、「⿊いスーツを着た男」(12年)のラファエル・ペルソナ。ラヴェルのミューズであるミシアには「ベル・エポックでもう⼀度」(19年)でセザール賞主演⼥優賞にノミネートされたドリヤ・ティリエが演じる。 ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による「ボレロ」に...
「レ・ミゼラブル」(2019年)で、自身が生まれ育ったパリ郊外の犯罪多発地区モンフェルメイユを舞台に、犯罪防止班(BAC)と少年たちの対立を描き、第72回カンヌ国際映画祭審査員賞をはじめ、第45回セザール賞で4冠獲得など、各国の映画賞を総なめにしたラジ・リ監督。同作のスタッフが4年ぶりに再結集した本作は、パリ郊外に存在する、都市再開発を目前に控えた居住棟エリアの一画(通称バティモン5)を舞台に、治安の悪いエリア一掃を目論む行政と反発する住人たちの〝排除〟と〝怒り〟の衝突を描いた。 〝排除された者たちの地帯〟との語源をもつフランス語で「郊外」を指すbanlieue(バンリュー)。パリのバンリュ...
文豪、オノレ・ド・バルザックが44歳で書き上げた「人間喜劇」の一編、「幻滅ーメディア戦記」を「偉大なるマルグリット」(2015年)のグザビエ・ジャノリ監督が映画化。セザール賞作品賞のほか、最優秀助演男優賞、有望新人男優賞を含む最多7冠を受賞した。 19世紀、恐怖政治の時代が終わりフランスは宮廷貴族が復活。自由と享楽的な生活を謳歌していた。文学を愛し、憧れのパリで詩人として成功を夢見る田舎の純朴な青年リュシアンは、貴族の人妻ルイーズと駆け落ち同然に上京する。だが、世間知らずで無作法な彼は、社交界で笑い者にされる。生活のためになんとか手にした新聞記者の仕事だったが、恥も外聞もなく金のために魂を売...