Edward Berger
映画監督、1970年生まれ「西部戦線異状なし」(2022年)監督・共同脚本「教皇選挙」(2024年)監督
新しいローマ教皇を選ぶ選挙がコンクラーベ。外部から隔絶された礼拝堂に高位聖職者の枢機卿が集まり、規定得票数に達するまで互選投票を繰り返す。投票ごとに、選出者が決まらないと黒い煙、決まると白い煙が上がって進行状況が外部に伝えられる。外からはうかがい知れないその内幕を描いているが、リアリズムで教会や宗教を真剣に考えるというより、未知の世界を舞台とした娯楽ミステリー。聖職者らしからぬ、欲と野望にまみれた俗物たちの、権謀術策渦巻くドラマである。 法王が急死して、首席枢機卿のローレンス(レイフ・ファインズ)がコンクラーベを仕切ることになる。教会内部ではくせ者が暗躍し、100人以上の枢機卿の投票の行方は...
2025.3.21
「西部戦線異状なし」というタイトルは、多くの人が耳にしたことがあるだろう。第一次世界大戦に従軍したドイツの作家、エリッヒ・マリア・レマルクの代表作であり、1930年にはハリウッドで映画化され、第3回アカデミー賞の作品賞と監督賞を受賞。79年にはリチャード・トーマスとアーネスト・ボーグナインの主演でテレビ映画としてリメークされている。 しかしドイツ人が書いたドイツ兵の物語なのに、これまでドイツで映像化されてはいなかった。そしてようやくドイツのスタッフ&キャストによる最新バージョンが作られ、Netflixより配信された。 第一次世界大戦下の西部戦線での戦いをドイツ人キャストで描...
村山章
2022.11.13
5年で日本を3000キロ縦断 東北の震災で家族を失ったジャーマンシェパード犬の多聞(たもん)は、離れ離れになった大切な人に会うため5年の歳月をかけて日本を3000キロ縦断する。その途中で出会った人々は多聞と過ごす時間のなかで心が癒やされ人生に希望を見いだしていく。人と人とをつなげながら旅する多聞はどこへ向かっているのか――。 「ラーゲリより愛を込めて」にもクロという犬が 瀬々敬久監督、林民夫脚本と言えば「ラーゲリより愛を込めて」が記憶に新しい。戦後10年、ラーゲリ(収容所)で強制的に働かされた日本人たち。この生活はいつまで続くのか、果たして祖国に帰れる日は来るのか……と希望を見い...
PR東宝
2025.3.10
カトリックの総本山バチカンで、トップに君臨するローマ教皇を決める教皇選挙「コンクラーベ」の内幕を描くミステリースリラー。監督は、第95回アカデミー賞にて国際長編映画賞、作曲賞、撮影賞、美術賞を受賞した「西部戦線異状なし」(2022年)のエドワード・ベルガー。バチカンを震撼させるある秘密を知ることになる主人公のローレンス枢機卿を演じるのは、「シンドラーのリスト」(93年)と「イングリッシュ・ペイシェント」(96年)でアカデミー賞助演男優賞と主演男優賞にノミネートされ、「ハリー・ポッター」シリーズのヴォルデモート卿や「007」シリーズでのMなどでも知られるレイフ・ファインズ。さらに、「プラダを着た...
第一次世界大戦下のドイツ。17歳のパウル(フェリックス・カメラー)は祖国のために戦おうと、反対する親に黙って友人たちと兵士に志願。パリへの侵攻も間近と聞いて意気揚々と西部戦線に向かうが、膠着(こうちゃく)状態に陥った最前線の凄惨(せいさん)な現実を目の当たりにする。終わりの見えない戦いの中で、パウルは戦友たちを失い、自らの感情を見失っていく。 ©Reiner Bajo