「母性」
「愛あたう限り、娘を大切に育ててきました」。遺体で見つかった女子高生の母親の言葉が報じられる中、娘を愛せない母ルミ子(戸田恵梨香)と、ルミ子に愛されたい娘清佳(永野芽郁)の回想が始まる。「私は強く、娘を抱きしめました」「母は強く、私の首をしめました」。同じ時を過ごし、同じ出来事を振り返っているはずなのに、母娘の証言は食い違っていく。 原作は湊かなえの同名小説。母と娘のシーンは緊張感が漂い、心がヒリヒリする。娘に対するルミ子の冷淡な態度は真に迫り、戸田にとっては新境地になったはず。ルミ子の実母(大地真央)や義母(高畑淳子)の愛情もどこかゆがんでいて、「母の愛は絶対」などと幻想を抱く人には「母性...