チャートの裏側:筋書きに重層性もたせて
予告編は面白かった。サスペンスなのか、ミステリーなのか。母と娘の間に起こる、おぞましさが濃厚で興をそそられた。湊かなえ原作とある。ひょっとして、大ヒットした湊原作の「告白」の再来もあるか。「母性」である。最初の5日間の興行収入は2億3000万円だった。 数字は正直だと思った。弾けていない。サスペンス、ミステリーではなかった。タイトルどおりに、母性をめぐる母と娘の確執の話であった。予想されたようなエンタメ性は希薄であり、そのような作品ではない。これが、興行に少し影響が出ている気がした。客層が限定的だ。 「女系家族」という山崎豊子の小説がある。映画化、ドラマ化もされた。大阪の老舗問屋のあるじが...