時代の目:「ジャネット」「ジャンヌ」 斬新な聖女、音楽に乗せ
フランスの国民劇のヒロイン、ジャンヌ・ダルクの生涯を切り取った2部作。「フランドル」など社会や人間を挑発するブリュノ・デュモン監督が新たな視座と実験性をまといながら、斬新極まりない感性で現代に投じた野心作だ。 15世紀前半、仏英による百年戦争の時代。「ジャネット」は小さな村で暮らすジャネット(ジャンヌの幼少期の呼び名)が神の声を聞く体験をし、フランスを救うため戦いに旅立つまで。戦争や平和、愛国心や信仰、アイデンティティーをミュージカルに乗せて大胆に表現。ヘビメタやポップソング、ヘッドバンキングなども一体化した前衛的な世界を創出する。 「ジャンヌ」では異端審問と火刑に処されるまでを描く。教会...