「ぼくが生きてる、ふたつの世界」 はざまで揺らぐ等身大の若者の成長譚
宮城県の港町で生まれた男の子、大(吉沢亮)は、耳がきこえない両親と手話で意思の疎通を行い、時には母、明子(忍足亜希子)の〝通訳〟をしながら育った。しかし小学生になると周囲の好奇の目に気づき、反抗期には母を疎ましく思い始める。やがて20歳になった大はこれといった夢もなく上京し、ろう者のグループと知り合い……。 耳がきこえない両親を持つ聴者(コーダ)である五十嵐大の自伝的エッセーの映画化。大好きだった母に寄り添いたいのに、世間の偏見にいら立って反発してしまう。物語はそんな主人公、大の視点で進行し、きこえない世界/きこえる世界のはざまで揺らぐ彼の葛藤を見つめていく。また母子の絆を描く家族劇にとどま...