Bas Devos
1983年4月10日 生まれ
映画監督
「悪は存在しない」 「人間の境界」 「ゴースト・トロピック」 「パスト ライブス/再会」 「燈火(ネオン)は消えず」 破天荒なパワーを楽しみたい 上半期に気に入った作品を並べてみたら、優に20本を超えた。邦画も洋画も時々の時代や場所、人を映す作品ばかり。目の前や周囲で起きていることも、遠い地での出来事でも、今を的確にとらえる視点に魅了された。使い古された「社会派」という範疇(はんちゅう)など大きく超え、ジャンルなど問わない。 もう一つ気にかけたいのは、学生の頃にわけも分からずひたすら見ていた「この映画って何?」「理解できない」といったたぐいの作品。映画は何でもあり。観...
鈴木隆
2024.7.04
ブリュッセルの移民社会を背景にした「ゴースト・トロピック」(2019年)、「Here」(23年)の2本が日本初公開中のバス・ドゥボス監督。ベルリン国際映画祭やカンヌ国際映画祭で喝采を浴びるなど世界の映画界でも一作ごとに熱い注目を集めている。まさに、映画好きにとって注目度急上昇中の映画作家である、次代を担うであろうバス・ドゥボス監督が、自身の映画作りの考え方、物語や映像へのこだわりをたっぷりと語った。 多人種、多国籍の都市ブリュッセル 2作とも「ヨーロッパの縮図、交差点」と呼ばれるブリュッセルの話である。「格別で特異な場所。移民も含めさまざまな人種、国籍の人が暮らす最も多様な都...
2024.2.16
ベルリンやカンヌの国際映画祭で高い評価を受けるベルギーのバス・ドゥボス監督の2作品が日本で初公開される。ヨーロッパの縮図、交差点と言われる多文化、多言語の街ブリュッセルを舞台に、移民など下層社会の人たちの生活の断片を丁寧に切り取った逸品だ。 「Here」は、建設労働者の男が故郷ルーマニアに帰国するか悩み、友人や姉にお別れの贈り物としてスープを作って配る中で、コケの研究者の女性と出会う物語。同僚との親しみにあふれた会話、コケ研究者との穏やかで優しさに満ちた時間がいとおしい。スープを配る行為、森の静寂、人と人が一緒にいること。当たり前に見えるこうした日常がいかに素晴らしいか改めて実感できる。 ...
2024.2.02
大都市ブリュッセル。仕事で長い1日を過ごし、最終電車の終着駅で目を覚ました掃除婦は、歩いて家路につくしかなかった。小さな一夜の旅路を描く。第72回カンヌ国際映画祭監督週間正式出品。 ©︎ Quetzalcoatl, 10.80 films, Minds Meet production
ブリュッセルを舞台に、中国系ベルギー人の植物学者と、ルーマニアからの移民労働者が織りなす、些細で優しい日常。他者との出会いの喜びを綴る。第73回ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門最優秀作品賞及び国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)をダブル受賞。 ©︎ Quetzalcoatl