Aki Kaurismäki
1957年4月03日 生まれ
映画監督、脚本家「マッチ工場の少女」(1990年)監督・脚本・製作・編集「浮き雲」(1996年)監督・脚本・製作・編集「過去のない男」(2002年)監督・脚本・製作「街のあかり」(2006年)監督・脚本・製作・編集「ル・アーヴルの靴みがき」(2011年)監督・脚本・製作「希望のかなた」(2017年)監督・脚本・製作「枯葉」(2023年)監督・脚本
フィンランド、いや、世界を代表する映画監督アキ・カウリスマキが映画監督引退を撤回して6年ぶりに発表した作品。さて、こんなふうにご紹介すると、カウリスマキ監督の作品をご覧になったことのない方は、さぞ大仰で難しい面倒な映画じゃないかと恐れをなすことがあるんじゃないかと思いますが、いえいえ、そんな心配は、まったくご無用。予備知識なしに映画館に行って映画に浸り、1時間半に満たない時間で終わるのは惜しい、もっと続くといいのに、なんて幸せな気持ちで映画館を出ることができる。講釈抜きで楽しめる作品です。 人生の秋にあったロマンス とはいえ、映画に出てくる人は貧しく、生活に追われ、職場も住まい...
藤原帰一
2023.12.21
登場人物は常に無表情で無愛想。セリフも動きも最小限で、劇中これといった大事件も起こらない。それなのに見終えてみるとあら不思議、しばし忘れえぬ感慨に浸らせてくれる名作の数々を世に送り出してきたアキ・カウリスマキ監督。前作「希望のかなた」で引退宣言したフィンランドの名匠から、ひょっこりと6年ぶりの新作が届いた。 主人公は勤め先のスーパーを不当解雇されたアンサ(アルマ・ポウスティ)と、しがない工事現場の作業員ホラッパ(ユッシ・バタネン)。もう若くはない男女が、路面電車が走るヘルシンキの街の片隅で引かれ合い、再会を約束して別れる。ところがホラッパが電話番号のメモを紛失してしまい……。 ジム・ジャー...
2023.12.15
ヘルシンキから車で1時間、フィンランドの深い森と湖に囲まれたカルッキラの町。今は使われなくなった鋳物工場を利用して、小さな町に初めての映画館「キノ・ライカ」が誕生した。リサイクルの木材や鉄、家具を使って、映画館を手造りしたのは、映画監督のアキ・カウリスマキと仲間たち。本作は、クロアチアのアーティストで映画監督のべリコ・ビダックが、妻と生後8カ月の娘をつれてカルッキラに1年間滞在し、作業を手伝いながら映画館誕生にわき立つカルッキラの住民たちの声を拾い上げ、「キノ・ライカ」開館までを見届けたドキュメンタリー。 本編では、カルッキラの住民たちに加え、「キノ・ライカ」の共同経営者となるミカ・ラッティ...
ヘルシンキで偶然出会った男女が、再会を約束する。ところが男はアルコール依存症で仕事をクビになり、女にもらった連絡先もなくしてしまう。名前も住所も分からない2人のすれ違いと、運命を描く悲喜劇。第76回カンヌ国際映画祭で審査員賞。 © SPUTNIK OY 2023