「アンデッド/愛しき者の不在」 静謐な語り口に満ちる静かな悲しみ
「ぼくのエリ 200歳の少女」の原作者として知られるスウェーデンの作家ヨン・アイビデ・リンドクビストの小説を、ノルウェーの新人監督テア・ビスタンダルが映画化した。ノルウェーの首都オスロが大停電に見舞われた直後、各地で死者がよみがえる怪現象が発生。すでにこの世を去ったはずの愛する者と対面することになった三つの家族の姿を見据えていく。 ゾンビ映画のように、死者が生者を襲うパニックホラーではない。墓場、葬儀場、病院で息を吹き返し、家族のもとに帰ってきた3体の「アンデッド」は、ただうつろにたたずんでいるだけ。ビスタンダル監督と共同脚本を手がけたリンドクビストは、喪失の悲しみに暮れる家族の不安や混乱を...