この1本:「笑いのカイブツ」 才能持ち腐れの悲喜劇
こんなに共感の入り口が狭い主人公も珍しいが、身につまされることこの上ない。岡山天音の好演(怪演!)と相まって、早くも2024年の屈指である。 ツチヤ(岡山)はお笑い一筋。5秒に一つずつボケを考えつくことを自分に課していて、猛烈な勢いでネタを紙に書き続けている。髪はボサボサ、身なりはかまわず、部屋は荒れ放題。バイト先でもネタ作りに夢中で使いものにならず、すぐにクビ。友達もいない。目指すはテレビの投稿大喜利番組だ。 才能はある。ネタが採用されるやたちまち常連となり、「レジェンド」にまで上り詰める。書きためたネタ帳を劇場に持ち込むと大物芸人の目に留まり、構成作家見習いとして採用される。ところが人...