この1本:「アシスタント」 異常許す〝空気〟伝える
この映画の製作年は2019年だから、大物プロデューサーのハーベイ・ワインスタインによる性加害事件が明るみに出て間もなく、ニューヨーク・タイムズ紙の特ダネの内幕を描いた「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」(22年)よりも先。ハラスメントを許す〝空気〟を、ハラスメントの実際の場面はおろかその言葉すら出さずに、むしろ出さないことでリアルに伝えた。小品ながら骨太の一作。 ジェーン(ジュリア・ガーナー)はニューヨークにある映画製作会社の新米アシスタント。その1日の出来事を描く。早朝に出勤して取り組むのは、細々した雑用ばかり。有名大学を卒業してプロデューサーを志望し、高い倍率をくぐり抜けて職...