1秒先の彼女  (C)MandarinVision Co, Ltd

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2021.6.24

1秒先の彼女

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

仕事も恋もいまいち冴(さ)えない郵便局員のシャオチー(リー・ペイユー)は、ダンス講師(ダンカン・チョウ)にバレンタインのデートに誘われるが、目覚めるとなぜか翌日に。毎日郵便局にやって来るバス運転手のグアタイ(リウ・グァンティン)が、消えたバレンタインの秘密を握っていた。

「熱帯魚」「ラブ ゴーゴー」で日本でもファンを生んだ台湾の監督、チェン・ユーシュンの作品。何をするにもワンテンポ早い女と遅い男を軸に、時間の流れに関する奇跡を描く。グアタイの行動を純愛ゆえと捉えるか、独り善がりと捉えるかは意見が分かれそうだが、見終わる頃には不器用な登場人物がいとおしくてたまらなくなるのは、チェン監督ならでは。時間を巡る仕掛けを彩る、シャオチーの部屋のインテリアや海辺の光景などノスタルジックな映像もかわいらしい。自分らしいペースで生きていいんだよ、と幸せ探しをする人の背中を押してくれるラブストーリーだ。1時間59分。東京・新宿ピカデリー、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(細)

ここに注目

ごちゃごちゃと入り組んだ話を軽やかなテンポで見せ、ファンタジックな世界観でくるんだチェン監督の奇想と技巧にうなる。それでも中盤は少しダレるのだが、病的な一面と純朴さを併せ持つ男性主人公に視点が替わる後半は、意外な急展開の連続で盛り返す。恐れ入りました。(諭)

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