公開映画情報を中心に、映画評、トピックスやキャンペーン、試写会情報などを紹介します。
2025.1.02
コナンVS鬼滅? ベルばら、まどマギ、ヒプマイ、細田守新作! 群雄割拠の25年アニメ映画を占う
興行通信社による2024年の日本国内における興行収入ランキングトップ10が出そろった(12月23日現在、23年12月公開作~24年11月公開作が対象)。
1位:「名探偵コナン100万ドルの五稜星」158億円
2位:「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」116.4億円
3位:「キングダム 大将軍の帰還」80.3億円
4位:「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」63.2億円
5位:「ラストマイル」59.2億円
6位:「インサイド・ヘッド2」53.5億円
7位:「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」53.3億円
8位:「変な家」50.7億円
9位:「怪盗グルーのミニオン超変身」45.3億円
10位:「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」45.2億円
「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」©2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
トップ10から消えた洋画実写 アニメは6作
洋画実写がトップ10内に1作も入らなかったのは初めての事態(洋画実写トップは17位の「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」23.7億円)だが、23年も「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」1本のみだった。25年は5月23日に「ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング」、日本公開は未発表だが全米では7月2日公開予定の「ジュラシック・ワールド」シリーズ新作「Jurassic World Rebirth(原題)」、「アバター ファイヤー・アンド・アッシュ」(12月19日公開)、さらにはアカデミー賞の有力候補でもある「ウィキッド ふたりの魔女」(3月7日公開)、ディズニー実写シリーズの新作「白雪姫」(3月20日公開)「リロ&スティッチ」(初夏公開)、「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」(2月14日公開)、「サンダーボルツ*」(ゴールデンウイーク公開)といったアベンジャーズ作品ほか、大作・話題作が多数控えており、洋画の〝復権〟に期待したい。
と同時に、邦画・洋画あわせて6本のアニメーション作品がトップ10入りした点からも(23年は5本がランクイン)、25年もアニメ映画の躍進が予想される。現時点で発表済みの新作で、ヒットが予想されるものをいくつか紹介したい。
まずは傾向だが、実写と同じくシリーズもの/コンテンツ力が高いものがやはり強い。漫画やゲーム原作にしろオリジナルテレビアニメの劇場版にしろ、「ファンを元々抱えている」状況での映画は、当然ながら当たる確率も高いわけだ。その観点でいうと、この2本は確実にトップ10に君臨することになるだろう。「名探偵コナン」と「鬼滅の刃」の新作映画である。
歴代最高うかがうコナン、鬼滅
灰原哀&黒ずくめの組織&阿笠博士、服部平次&遠山和葉&怪盗キッドといった古参キャラクターにフォーカスする方式をより強め、新作を発表するたびに興収が上がる驚異的な伸び率を誇る劇場版コナン。4月18日公開の劇場版「名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)」では、毛利小五郎と長野県警の面々による新旧人気キャラクターが活躍する予定。本シリーズは「興収&動員のブーストになる入場者プレゼントを行わない」「原作とのリンク&キャラ理解度が濃く、深い」といった特徴があり、原作ファンからの支持率も高い印象だ。作品のクオリティーに対する信頼も厚いとなれば、最高興収となった「100万ドルの五稜星」に匹敵する数字にも期待が高まる。
そして、「劇場版『鬼滅の刃』無限城編」。コナンが劇場版オリジナルストーリーなのに対し、「鬼滅の刃」シリーズはアニオリ(アニメオリジナルの演出・パート)こそあれど、基本は原作準拠の内容。ただ、歴代興収1位となる400億円超という数字をたたき出した「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」も同じ仕様であり、本作を超える/並ぶには、やはり本家しかないのではないか。しかも今回は、最終決戦となる「無限城編」を全3部作で描くという。人気キャラクターも集結する内容となっており、特大ヒットの起爆剤は既にそろっているといっていい。ちなみに「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が公開された20年、劇場版「名探偵コナン」は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で公開を延期。どちらも東宝配給作品のため競合というと語弊があるかもしれないが、コナンVS鬼滅の直接対決に注目したい。
広いファン層にアピール「ガンダム」ルパン」「ドラえもん」「まどマギ」
1月17日には「機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning」が公開。こちらはテレビアニメの放送に先駆けて再構築した先行上映版だが、ガンダムシリーズの強さ、さらにはサンライズとカラーという2大スタジオがコラボし、「エヴァンゲリオン」シリーズや「シン・ゴジラ」の庵野秀明が脚本、デザインワークス、絵コンテを手掛ける話題性も十分。また、あの「ベルサイユのばら」の完全新作となる劇場アニメが1月31日に劇場公開。原作漫画は50年以上愛される長寿作品であり、往年のファンが劇場に押し寄せる可能性を秘めている。
さらに、「ルパン三世」の完全新作となる劇場版「LUPIN THE IIIRD THE MOVIE」(仮)も年内公開を予定。2D劇場版アニメーションとしては、1996年公開の「ルパン三世 DEAD OR ALIVE」以来約30年ぶりとなり、ファンにはうれしいところ。さらに「ルパン三世」シリーズはファン層が幅広いという特徴もあり、劇場観賞のハードルが低めということもプラスに働くかもしれない。
盤石といえる「ドラえもん」は、「映画ドラえもん」シリーズ45周年記念作品である「映画ドラえもん のび太の絵世界物語」(3月7日公開)でヒットを狙う。ゲスト声優には鈴鹿央士、主題歌はあいみょんが務める予定だ。そして、ファンにおいては長らく待ち望んでいたであろう「まどマギ」の新作「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ ワルプルギスの廻天」が冬に公開予定。興収20億円以上を記録した「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語」の正統続編にして12年ぶりの新作映画であり、こちらも注目作の一角を担っている。
ダークホース「ヒプノシスマイク」
蓋(ふた)を開けてみれば大化けするかもしれないダークホースといえるのが、ヒットコンテンツ「ヒプノシスマイク」をアニメ映画化した「ヒプノシスマイク Division Rap Battle」(2月21日公開)。劇場用映画としては日本初となる観客参加型の「インタラクティブ映画」という形式を取り、ラップバトルの勝敗が観客のリアルタイムの投票によって決まるという。つまり、その回の得票数に応じてストーリー展開や結末が変わるため、複数回観賞するリピーターが生まれる可能性が高い。例年この時期、劇場映画はアカデミー賞候補作などが多い印象だが、「ヒプノシスマイク」がどれほどの旋風を巻き起こすのか。
また、24年公開の2作も忘れてはならない。「モアナと伝説の海2」は公開13日間で国内興収20億円を突破(12月5日の先行上映含む。12月23日時点で興収24億円を突破)。12月20日に封切られた「ライオン・キング:ムファサ」は国内興収66.7億円の大ヒットを記録した前作「ライオン・キング」に比べると初週3.6億円とダウンしたが、年末年始でどこまで数字を積み上げられるか。
そのほか、12月22日に行われたジャンプフェスタ2025にて人気アニメ「チェンソーマン」の劇場版「レゼ篇」の公開が「2025年の台風がくる頃」と発表。場版「レゼ篇」の公開が「2025年の台風がくる頃」と発表。さらに、12月23日には東宝が2025年のラインナップを発表。細田守監督の「竜とそばかすの姫」以来約4年ぶりとなる新作「果てなきスカーレット」が冬公開であるとの情報が解禁された。年明け以降、さらなる年内公開年明け以降、さらなる年内公開のビッグタイトルが発表される可能性は大いにあるため、引き続き注視していきたい。