福岡市内で行われたFUKUOKA 48 Hour Film Project ラップパーティー 2023年12月27日

福岡市内で行われたFUKUOKA 48 Hour Film Project ラップパーティー 2023年12月27日

2024.1.27

福岡の映像は世界に通用するのか! FUKUOKA 48 Hour Film Project の1位作品が世界大会へ

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宮脇祐介

宮脇祐介

2023年12月27日、福岡市内で行われたFUKUOKA 48 Hour Film Project ラップパーティーでチーム通り雨「祝福」の第1位が発表となり、福岡代表としてポルトガル・リスボンにて開催される「Filmapalooza」と呼ばれる48hfp世界大会に出品が決定した。今回も審査員の1人として参加したこの映画祭をリポートする。
 
新型コロナウイルス禍明けを実感させる31組が参加出場チームも関東、中京、関西などの福岡県外実力勢の参加も見られた。この映画祭のルールは、締め切り48時間前に開催されるキックオフ・イベントの抽選会で各チームが製作する映画のジャンルが決定。全チーム共通のお題、「名前/キャラクター」「小道具」「台詞(せりふ)」を必ずシーンに入れ込み、脚本を制作し、撮影を行い、編集・整音・音楽・効果音などの作業を経て48時間内にカンパケて事務局に納品する過酷なもの。もちろん、時間に間に合わなければ失格である。今回のお題は、「はやまあたるorあすみ/気象予報士」、「ガムテープ」、「ダメでもいいんじゃない」〝It’s okay if it’s not good! 〟or 〝It is okay if it is not good. 〟となった。
 
福岡は九州の映像の中心であり、テレビやCM、MVなどの制作が盛んに行われている。近年では「サンクチュアリ-聖域-」の江口カンや「断捨離パラダイス」の萱野孝幸など福岡映像界出身の映画監督も活躍している。福岡大会は3回目で、ラップパーティーからFUKUOKA 48 Hour Film Projectが一つの映像コミュニティーとして成立し始めていることを感じた。ここから、新たな連携が福岡の映像界に影響を与え始めているようだ。
 
今回の審査では上位作品にほとんど差がなく、良作も多く、審査員は前回に続いて世界に通用する「強い映像」にこだわって選出した。
3位は前回「気まぐれのドッペルゲンガー」で1位に輝いたODA&Fz の「ぐるぐるした夜に」。台風の夜に2人きりになった孫娘と祖父という気まずい関係と和解をユーモアたっぷりに描いている。監督の小田憲和さんは作品の出来に手応えがあったようで3位にも「悔しいです!」と次回へのリベンジを誓った。


2位はキネマスタジオ「いつ、どんなときも」。今回実力を遺憾なく発揮した県外勢の1組。誰も良い人のいないイヤミスなストーカー劇を見事に描き切った。残念ながら予定が合わずラップパーティーに出席はならなかった。
そして、1位は前出の通り雨「祝福」。新興宗教らしき団体から逃走する女性の逆転劇を強い映像で言葉少なに語ったことに称賛が集中した。女性中心のスタッフの初々しい喜びが印象的だった。リスボンでどんなふうにこの作品が受け取られるのか結果を楽しみにしたい。


 
他にもさまざまな賞に選ばれた9029works「秋空ガムテープ」や観客賞1位の我利我利プロ「雨のち夫婦」など秀作が目を引いた。主演女優賞を受賞した「ぐるぐるした夜に」の松田実桜さんは春から東京で芸能の世界にて新生活が始まるとのことで、審査員一同より大きなエールを送りたい。
 
リスボンにて開催される世界大会「Filmapalooza」は3月20~23日。選考されれば作品は5月に行われるカンヌ国際映画祭にて上映される。吉報を待ちたい。
 
FUKUOKA 48 Hour Film Project  
公式サイト https://48hfp.fukuoka.jp/

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ライター
宮脇祐介

宮脇祐介

みやわき・ゆうすけ 福岡県出身、ひとシネマ総合プロデューサー。映画「手紙」「毎日かあさん」(実写/アニメ)「横道世之介」など毎日新聞連載作品を映像化。「日本沈没」「チア★ダン」「関ケ原」「糸」「ラーゲリより愛を込めて」など多くの映画製作委員会に参加。朗読劇「島守の塔」企画・演出。追悼特別展「高倉健」を企画・運営し全国10カ所で巡回。趣味は東京にある福岡のお店を食べ歩くこと。

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