藁にもすがる獣たち Copyright © 2020 MegaboxJoongAng PLUS M & B.A. ENTERTAINMENT CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED. ©曽根圭介/講談社

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2021.2.18

藁にもすがる獣たち

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)。

曽根圭介の同名犯罪小説を原作にした韓国映画である。事業に失敗した中年男ジュンマン(ペ・ソンウ)が、バイト先のサウナ店のロッカーで大金入りのバッグを発見。それをきっかけにヤミ金からの借金に苦しむ出入国管理官テヨン(チョン・ウソン)、暗い過去から逃れようとしている美女ヨンヒ(チョン・ドヨン)、夫のDVに苦しむ主婦、不法滞在者の若者らの人生が交錯していく様を描く。

そろいもそろって欲望まみれの登場人物たちが、人間の醜さ、弱さ、愚かさをさらけ出しながら、破滅への道を転がり落ちていく。序盤にとっちらかった複数のエピソードを、巧妙に時間軸をずらしながら束ねていくストーリーの語り口は、尻上がりの面白さ。韓国ノワールらしい血生臭さもたっぷりだが、悲惨な出来事が連鎖的に巻き起こるバイオレンス描写には乾いたユーモアも漂う。俳優陣の怪演も見もので、妖艶にして凶暴な悪女に扮(ふん)したチョン・ドヨンの存在感が圧巻。キム・ヨンフン監督。1時間49分。東京・シネマート新宿、大阪・梅田ブルク7ほか。(諭)

異論あり

どこにでもいそうでありながら個性豊かな登場人物たちが絡み合い、テンポよく進んでいくストーリーは心地よく楽しめて期待を裏切らない。でも、もっと、それさえ超える何かが欲しかったと思ってしまうのは、韓国映画に求める水準が高くなってしまっているせいだろうか。(久)