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2024.2.22
「ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突」が公開!「円谷プロ」と「ドコモ」――コンテンツとIDネットワーク結合の必然ー前編ー
名実ともに国内最大キャリアであるドコモと、日本の誇るコンテンツブランドの円谷プロダクションがパートナーシップを発表して2年以上がたった。携帯電話をソリューションとしたマーケティングサービスを拡充し続けるドコモ、創立60周年を迎え、2月23日(金・祝)に全国ロードショー作品「ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突」の公開を控えるほか、「ウルトラマンシリーズ」のグローバルな展開を推し進める円谷プロダクションが組んで、いったい何を起こそうとしているのか。なぜ今、キャリアがコンテンツと提携するのか。それは挑戦なのか、それとも経営の集団的自衛なのか。
キーマンとなるふたり、円谷プロダクションの大塩忠正執行役員とドコモの石橋英城マーケティングイノベーション部長に話を聞いたその前編。
左から公野勉、円谷プロダクション大塩忠正執行役員、ドコモ石橋英城マーケティングイノベーション部長
1. 強力で膨大なコンテンツ・アーカイブ、多世代型市場――円谷プロダクションの歴史と強み
まず、状況をサマリーしよう。1963年の設立以来、円谷プロダクションは〝特撮〟をキーワードに作品を量産し、邦画メジャーの資本を筆頭としながらもほぼ独立的経営を行い、そのソリューションの強さによって作品市場を維持し続けていた。幾度かの経営危機を迎えながらも都度、そのコンテンツの計り知れないほどの価値によって危機を脱し、現在では大型資本の合同状態にあり、財務的にも極めて安定している。平成以降、常に新作もリリースし続けており、伴うマーチャンダイジングもバンダイナムコの2023年度3月期ではグループ全体での関連売り上げは215億円に達するほどにもなった。これはバンダイナムコの抱えるキャラクター群中、6位に相当する数値である。
代表的なキャラクターは〝ウルトラマン〟だ。シリーズ初作となる「ウルトラQ」(66)には巨大ヒーローは登場せず、毎回、超常的でミステリアスな事件を追う内容だったが、やがてセールスポイントの核は〝怪獣〟へと移っていく。これは同社の創業者である円谷英二が特撮を担当した東宝の大作映画「ゴジラ」(54)の先行が大きかったろう。市場はゴジラのような巨大な特撮クリーチャーを欲していた。すでに市場側ではTSUBURAYAの名を冠した〝特撮怪獣〟の投入が期待されていたのだ。そしてやがてそれは対峙(たいじ)する巨大ヒーローを主人公とし、変身ガジェットや武器、人形、服飾や文具、食品までを網羅する商品体系を作り上げるほどとなった。
2.ドコモの出自とナショナル・カンパニー的地位
一方、NTT法に公共的義務を持たされつつ、国民にとってなくてはならない基幹通信事業者となったNTTとドコモだが、株式が移動するだけでニュースとなり、まさにその経営は常に注視される存在となっている。近年ではマネックス証券との資本的連動も含め、開発して既得された巨大なシステムを大きく〝いずこか 〟へと打ち上げようとしているようにも見える。それは通信業界の覇権争いなどという限られた市場だけのものではなく、新たな社会システムそのものを創出しようとするかのごとくである。
3.コンテンツ体系とマーケティングインフラの必然的結合――結合の意味とメリット
ウルトラマンは円谷プロダクションの主力コンテンツだが、連年リリースの宿命であるトレンドダウンと戦い続けてもいた。制作体制を安定させればさせるほどクリエーティビティーは固定化されて前作との差別化が困難になり、顧客は飽きていく。2013年以降、一部特撮の基幹機能を堅持しつつ、制作体制を一新して〝ニュージェネレーション〟と後に呼ばれることになるシリーズが開始された。この制作現場のクリエーティブ・タレントにはそれまでの東宝-円谷の流れにいた人材や、テレビ局の血は入らず、CM等の先端映像の現場や国外で映像制作を体感したスタッフが多く参入している。
玩具の展開もさまざまとなり、大規模資本参加をしたバンダイナムコ発らしい、児童の興奮するギミックが大きく取り入れられた。シリーズが生まれ変わった瞬間だった。シリーズはそれまでの1年間通期の体制から2クールでのマーチャンダイジング体制への移行も確立し、大ヒットの記憶も新しい「シン・ウルトラマン」(東宝/22)やマーベル・コミック「THE RISE OF ULTRAMAN」(20)のような、全方位展開も開始する。恐らくは17年にウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンからやってきて代表へ着任した、塚越隆行の采配の成果ではないだろうか。2022年、親会社であるフィールズは持ち株会社制に移行、円谷プロは「円谷フィールズホールディングス」の麾下(きか)に位置する事となったが、同年3月には約4割ほどの営業利益を円谷プロが上げるほどにその存在感は増している。そんな同社の次の一手とは一体何か?
4.デジタルマーケティング、ビッグデータ、その分析力の強大さ
公野――今回の取り組みについて、ドコモの中で石橋さんの部門(マーケティングイノベーション部)の既存戦略との整合はどうなっているんですか?
石橋――通信事業者であるドコモの法人事業と非通信のスマートライフ事業。この二つの事業セグメントを伸ばし、事業体として成長していこうというのが基本戦略です。特に非通信のマーケティングとメディアが私の領域です。
公野――その戦略の中に〝コンテンツ〟がキーワードとしてあった?
石橋――これまでの戦略の中にももちろんコンテンツの文脈自体はありました。ドコモは国内で9800万人ぐらいの顧客基盤とそれに伴うさまざまなデータを持っているわけですが、われわれ自身がそこにコンテンツを直接創出する機能は持たない。そこで違うシナリオやアプローチが必要ということで、計り知れない評価と可能性を持つパートナーとして円谷プロダクションの名前が協業候補としてすでにあった。その円谷プロさんの申し入れで始めたのが21年からスタートした「TSUBURAYA IMAGINATION®(ツブラヤ イマジネーション。円谷プロの公式定額サービス『TSUBURAYA・GALAXY』という有料ファンクラブを前身のひとつとする)」でして、これを契機によりご一緒できる環境を作っていこうと23年の3月に「ジョイントイニシアティブ・パートナーシップ契約」を締結したんです。
公野――提携契約? 従来の提携ではないということですか?
石橋――サブタイトルとして「データドリブンマーケティングによるウルトラマンなどにおける新たなコンテンツ開発の推進などを検討」――と銘打っています。「TSUBURAYA IMAGINATION」の会員とdアカウントは完全に結合しています。つまり、そのデュアル・ビッグデータを使用した新規コンテンツとサービスの開発を互いに〝浮気しないで〟やっていこう、と(笑い)。
公野――最強タッグの誕生ですね。
大塩――具体的なシステムとして円谷プロとドコモアセットの掛け合わせを行いました。これを「TSUBURAYA DATA EVOLUTION」と言います。「TSUBURAYA IMAGINATION」はドコモのデータと100%シンクロできるので、これを母体として、データドリブンマーケティングによってビジネスを水平展開できるわけです。
ドコモの多面的な機能と領域はよく知られている一方、われわれが知らない――というよりもあまり意識をしていない機能がある。それがdアカウントだ。dアカウントは単なるIDではない。プライバシーを完全にプロテクションすると同時にすべての閲覧・購買・位置のクローズされた情報がデータとして個人から完全に切り離され、無人格なデータ・コンビナートとして積層される。これにより流行、嗜好(しこう)、欲求、ムーブメント等の現象が一元的に把握できるわけだが、一方でこれまでは単純な広告的情報の誘導にその活用は甘んじてきたと言える。しかし、これをさらにわれわれの期待と要請に直結させようというのが今回、円谷プロとドコモが提唱する「DATA EVOLUTION」である。〝データドリブンマーケティングコンセプト〟とも呼称されるそれは、ペルソナ特性の抽出にとどまらず、アスキングによる嗜好性調査ではない、行動からの嗜好性調査を獲得できる。それによって市場・顧客とコンテンツ創出側をエンゲージさせ、観客の期待にたがわないコンテンツの制作や、無駄のない商品製造・流通・購買への反映等、確実なリーチを生む。さらに連環して良化スパイラルを生み続ける、というものだ。円谷プロとドコモが目指しているのは、デジタルとリアルの垣根を越えたファンコミュニケーションの実現であり、これは新時代に突入した両社の経営課題と合致する。
公野――〝パートナーシップ〟というワーディングにはもっと深い示唆があるような印象ですが。
石橋――ふたつあります。「TSUBURAYA IMAGINATION」のサービスはdアカウントと100%ヒモづいていて、データ総体が分析可能な状態になっていますが、このデータはGAFA等のデータと位相が違っていて、スマホ自体の移動とアクティブな生活時間がバンドルされる。現在、dポイントの加盟店が905ブランドあって、d払いの店舗数は296万カ所ぐらいあるんです(12月末時点)。リアルな日常生活の無意識な行動や購買活動が積算されているわけです。そうするとそこにいるファンに対してデータドリブンなエンゲージメントを実現していける。
公野――円谷プロとドコモの〝パートナー〟という意味以上にファンとの〝パートナーシップ〟の意味があるということ?
石橋――これをレバレッジさせていけるパートナーとの「DATA EVOLUTION」が基本的なコンセプトになっていて、ドコモはいろいろな企業とのパートナーシップも持つ中で、円谷プロとドコモともう1社、2社――というように、それぞれの企業のファン層、エンドユーザー層が重なりを持つ、特性や大きさを分析していくことで相互の領域に乗り入れた商品の実現や、市場の結合を確実にしていくわけです。
公野――円谷プロとドコモ以外の〝パートナー〟の可能性が潜在していると――なるほど、マーケットの連結が可能なわけですね。
石橋――そうです。データドリブンにファンが喜ぶようなコ・マーケティングを企画するっていうのが目的のひとつなんです。
公野――「DATA EVOLUTION」がコ・マーケティングのソケットなんですね――とすると、すみません、これ、考え方によっては円谷プロのIP以外でもできてしまいますよね(笑い)。
大塩――円谷プロとしてもそれで問題ないと考えています(笑い)。まず円谷プロをパイロットケースとして共に先端的なフレームを組成してもらい、定型化した後は他社さんとも組んでいただく。そうする事でコンテンツ産業全体として新たな知見が蓄積されれば良いのではないかと考えています。
石橋――もうひとつはXR等のリアル空間とバーチャル空間との結合を実現し、時間等の制約を取り除いていろんなコンテンツを出合わせる接点を持たせることで、エンドユーザーに喜ばれるようにストーリー立てられた、チャネル横断的に展開する企画も両社のデータの重なりから生み出したいんです。「こういう顧客層にはこういうアプローチが受けそうだね」という解を導き出して、顧客体験を作ることがもう一つのチャレンジなんです。
公野――その場合、データから導かれたマーケティング要素を、今度は円谷プロがプロダクションとして脚本や演出、造形、映像技術に生かしていく作業が必要になりますね。これは従来の円谷プロの制作技法以外のソリューションが必要になってくる可能性があります。
大塩――おっしゃる通りです。私たちは「リアルとバーチャルをまたぎチャネル横断的に展開するストーリー体験」を〝トランスメディア・ストーリーテリング〟と呼んでいますが、まさにさまざまな側面で新たな制作上の技術開発が求められるチャレンジングな領域として位置付けています。とはいえ、データドリブンな映像作品開発が実現するまでにはまだ時間がかかる。しかし円谷プロのもうひとつの強みとして全国で行われているライブイベントがあります。年間のべ40万~50万人以上の顧客接点を生み出している事業なんですが、ドコモのデータは地域エリアの属性も獲得しているため、各地域にカスタマイズさせたストーリーの体験創造の可能性は極めて高い。
公野――それは全国のファンに喜ばれますね。
石橋――地域に住んでいる、どういう人たちがどういう楽しみ方をしてるのか?という無意識の行動データを反映させられるわけです。
公野――単純にご当地的コンテンツということではなく、地域の風俗性みたいなものや地域住民の性質を反映させられる。
大塩――さらに石橋さんの部門が目指すデータ分析は、単に顧客属性を数値として判断するのではなくて、そのデータの奥にある深い顧客インサイト――例えば「このファミリーのお父さんって家族にこんなふうに思ってもらいたいんだろうな」というような人格的希望や欲求まで読み取ろうとしており、私たちの作っているコンテンツの制作目的や演出意図に極めて近い。そうするとより多くの人たちが楽しめる〝日常の中でのストーリー体験の創出〟という円谷プロのビジョンと、ドコモのデータソリューションは設置点が同じなんです。
公野――コンテンツの作り方が変わっていくのが直感的に分かりますねえ。……父親は得意げにウルトラマンの説明とかをするものなんですよね。多世代型コンテンツの体系という意味で、この取り組みはうってつけだ。
石橋――いろんなターゲットクラスターにいろんな性別・年齢・属性の方々がいて、さらにコアに位置する人、周辺にいるライトな人――と、さまざまな軸でクラスターを作った時に、「このクラスターの人たちにはこういうコンテンツの企画がヒットするんじゃないか」というのもデータドリブンであると、まずデータから企画の種を見つけられるわけです。そこでさまざまなターゲット層にさまざまなアプローチをしていける企画を作る環境を、両社で作り出しましょうということが「DATA EVOLUTION」のもうひとつのテーマなんですよね。
5.必然的邂逅(かいこう)
国内においては児童数も減少の一途、DVD・Blu-rayのパッケージビジネスも成熟期を終えつつあり、さらに最大ヘゲモニーメディアの覇者であった地上波が動画配信によって揺らぎつつある現在、コンテンツビジネスはその商品思想における根幹からの発想の転換が求められている。それはすでに〝CG企業〟等のライバルも多くなってしまった円谷プロにとっても、ナショナル・カンパニーとして国家を支えるべき重責を負うドコモにとっても、巨大なパラダイム転換において従来の価値観を必然的に変えざるを得ない最大の危機であり、同時に千載一遇の機会だったのだ。
公野――ラブコールは円谷プロからだったとのことですが。
大塩――はい。ドコモさんへの最初のご提案は2019年だったと思います。当時、私たちは次世代のデジタル戦略を構想しており、その構想を共に歩んでいただけるパートナーを探していました。その構想とは、円谷プロが既存のあるいは潜在的なファンの方々とデジタルで直接つながり、そのデジタル基盤の上で映像サービスやライブ視聴、ECやコミュニティーサービス、更にはXR技術を使ったサービス等をCRMの思想を根底に展開する、というものでした。この考え方に共感いただき、その第一歩として2021年にサービスを開始したのが「TSUBURAYA IMAGINATION」でした。
石橋――サブスクリプションサービスのdTV(現Lemino)やdアニメストア、dブックやdマガジンなどの総合的なメディアサービスはありましたが、一つのプロダクションに特化したパートナーシップというのは初めてでした。一緒にコンテンツやサービスそのものを企画し、日々、お客様に対して何を提供していくかを開発していくというのは、まったく新しいスタイルの協業ですね。
6.製造-小売りの直結、欲しいサービスのリアルタイムな提供
大塩――「TSUBURAYA IMAGINATION」の加入者データとdアカウントのデータがつながった結果、「TSUBURAYA IMAGINATION」への声だけでなく、さらにdアカウントの行動データも分析ベースとなって、「TSUBURAYA IMAGINATION」にはどんなお客さんが加入し、どんなものを嗜好するのかという傾向もはっきりと分かってきました。例えば現在のTVシリーズに出演いただいている俳優の方々をゲストに迎えたトークライブを生配信すると非常にファンの皆さんからの反響が大きい。それをライブイベントの優先チケットへと誘導するとさらに喜んでいただける。これらはデータの分析をもとにサービスを進化させた結果です。
公野――オンエア中のコンテンツを、多世代というか多属性に対してより振動させるハブに「TSUBURAYA IMAGINATION」がなっているわけだ。売り上げのポートフォリオとして現在も子供向けの玩具が最大ではないんですか?
大塩――もちろん国内外において、ウルトラマンというコンテンツの収益上の大きな柱は今でもキッズファミリー向けのマーチャンダイジングです。しかしマーチャンダイジングの領域でも近年は大人向けの高価格帯商品が伸びているなど変化が生じています。特に「TSUBURAYA IMAGINATION」はサブスク型のデジタルサービスということもあり、視聴者層はとても幅広いものとなっています。
公野――つまり多世代化を達成している。
大塩――そうですね。10代から60代まで会員の方々がいらっしゃいますので親子3世代のサービスともいえます。これは現在のTVシリーズだけでは捕捉できなかったファン基盤です。言い方を変えれば、私たちは従来の〝ウルトラマン(あるいは円谷プロ)イコール子ども向け〟という認識を変え、もっと幅広い人たちにファンになってもらいたいという大きな戦略があり、その解決策のひとつとして「デジタルサービスで顧客と直接つながる」という方法論を位置付けたのです。
公野――子どもも父親もじいちゃんも――と言うのはすごい市場資産だと思いますが、市場が年齢で逆三角錐(すい)的ですよね。高い年齢の方が厚いコンテンツと言うか。
大塩――実は私も最初は、比較的お金に余裕があると思われる昭和のウルトラマンを見ていた世代の人たちを想定していたんです。ところが「TSUBURAYA IMAGINATION」の加入者分布を分析すると、もちろん40~50代のコアファン層も当然いらっしゃるが、実はメインユーザーとしては20~30代が多いことが分かったんです。
公野――え? どういうことですか?
7.TSUBURAYA IMAGINATIONを支えているのは20~30代――再生産による顧客の拡充
大塩――ファンの再生産による世代交代が進んでいるんですよ。平成のシリーズや、2013年から始まった今の〝ニュージェネレーション〟のシリーズ。それを見てくれていた若者たちが一番熱いんです。
公野――それは驚きですね。キッズ向け番組は数年で卒業することが多いのでオンエア期間だけの人気かと感じていました。
大塩――さらに最新の分析では、「TSUBURAYA IMAGINATION」における一番のコア・ユーザーは女性ではないか?ということも見えてきたんです。
公野――え!?
大塩――「TSUBURAYA IMAGINATION」を継続的に頻繁に使ってくださっているファン、という視点で計測・分析すると、女性ファンの方々が影響力を持ち始めていることが分かるんです。イベントやライブの会場などでは感じてはいたのですが、データ的にもはっきり出てきました。俳優さんや声優さん、そしてスーツアクターも人気の要素と思われますが、「ウルトラマンの存在そのもの」に魅力を見いだして応援してくださる女性ファンが増えている傾向には注目しています。
公野――特撮好きという文脈ではなく、ウルトラマンのナマの存在感に萌(も)えてくださる女性が出現しているということですか。特撮の新しさを競う時代ではないですし、そこはキャラクターや物語の魅力なんですね。
大塩――〝ニュージェネレーション〟シリーズの20~30代のファンたちが支えてくれている以上に、新しい属性のファンがたくさん生まれてきている――その意味でも〝作り続けることの大切さ〟を確信しました。
8. 総合ファンエンゲージメントサービス――それは契約ではなく、約束や婚約
「TSUBURAYA IMAGINATION」の根幹を成す「DATA EVOLUTION」。加入者情報とdアカウント情報が直結する同システムは、元来、円谷プロが掲げてきた「顧客・企業一体」の思想を体現できる。彼らはそれを〝総合ファンエンゲージメントサービスへの進化〟とする。17年の代表就任時、塚越隆行は「ウルトラマンをより深く身近に感じてもらい、好きになってもらえる会社になりたい。テレビでウルトラマンを見て、ソフビ人形で遊んで、イベントに参加してキャラクターと会って──といったことが一連のエンタメとして楽しんでもらえる世界観にしたい」と語っていた。この「顧客・企業一体」「ファンと円谷プロとのエンゲージメント」を実現する、決定打となり得るのが「TSUBURAYA IMAGINATION」だったのだ。そんな塚越の着任以来、円谷プロは大きく変わった。
「『TSUBURAYA』と『ドコモ』――コンテンツとIDネットワーク結合の必然、後編」に続く。「ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突」公開中! 「円谷プロ」と「ドコモ」――コンテンツとIDネットワーク結合の必然-後編- - ひとシネマ (mainichi.jp)
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