第27回プチョン国際ファンタスティック映画祭の開会式でレッドカーペットを歩く(左から)チェ・ミンシク、アン・ソンギ、パク・チュンフン=2023年6月29日、勝田友巳撮影

第27回プチョン国際ファンタスティック映画祭の開会式でレッドカーペットを歩く(左から)チェ・ミンシク、アン・ソンギ、パク・チュンフン=2023年6月29日、勝田友巳撮影

2023.7.01

プチョン国際ファンタスティック映画祭開幕! 名優チェ・ミンシク、アリ・アスター監督登場 日本からも多数上映

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勝田友巳

勝田友巳

第27回プチョン国際ファンタスティック映画祭(BIFAN)が、韓国・プチョン市で開幕した。スリラーやホラー、SFなどジャンル映画に特化して独自の路線を行く映画祭。といってマニアックなニッチ志向にとどまらない、映画の可能性を探究する姿勢も示す。例年日本映画も多く上映されるが、今回は特に、日本映画界との関係強化を模索している。
 

第27回プチョン国際ファンタスティック映画祭の開会式。巨大なドームが設置された=2023年6月29日、映画祭提供

オープニングはアリ・アスター新作

6月29日、プチョン市役所前の広場で行われた開会式は雨交じり。この時期は韓国も梅雨で、例年雨が多いとか。22年の開会式は土砂降りの雨だった。それに懲りたのか、今回は広場に巨大なドームが設置されていた。レッドカーペットにはチェ・ミンシク、アン・ソンギ、キム・ソンギュンらが登場。開幕作品はアリ・アスター監督の「Beau is afraid」。「ヘレディタリー/継承」「ミッドサマー」の鬼才は韓国映画ファンを公言していて、「ずっと来たかった」とあいさつし、喝采を浴びていた。


開会式に登壇したアリ・アスター監督(中央)

プチョン市制50年

今回のテーマは「Cinema+」。前回シリーズドラマに賞を新設したのに続き、今回はさらに領域を広げ、ウェブアニメやマンガも視野に入れる。また23年はプチョン市の市制50年にあたり、映画祭は1973年に公開された「アメリカン・グラフィティ」「燃えよドラゴン」などを上映する。シン・チョル執行委員長は「映画祭は革新を続けていく」と宣言した。
 
ジャンル映画には刺激が強い作品が多いが、BIFANは子供から大人まで楽しめるよう多くの部門を設置。今回は51カ国・地域から262作品を上映する。このうち日本からは21本。地元韓国を別にすれば、米国に次いで多い。閉幕作品は清水崇監督の「ミンナのウタ」を、日本公開に先立って上映。アジアの企画マーケットNAFFは日本に焦点を当て、熊切和嘉監督らの5作品が紹介される。また手塚真、小中和哉両監督の作品も特集上映される。


マスタークラスで語る手塚真監督

「映画は自由が最も大事」手塚真監督マスタークラス

30日には手塚監督の短編を集めた「Visualism」が上映され、監督によるマスタークラスも行われた。漫画家・手塚治虫の長男である手塚監督は「ビジュアリスト」を名乗り、実験的なアート映画から「白痴」「ばるぼら」など長編商業作品まで幅広く作品を手がけている。100席ほどの上映会場は若者を中心に満席だった。
 
手塚監督は「自分の血の中に手塚治虫らしさがあるし、逆にらしくないことをすることもある」「怪獣映画とホラーが自分の原点。ドイツ表現主義もホラーとして出会い、アートもホラーも現実に見られないものを見せてくれるから同じジャンル」「ビジュアリストの肩書だが、やりたいのは映画。しかし映画作りのルールや常識に縛られないため、新しく考案した」などと自身の映像への哲学を披露。「自由に考えてものを作るのは最も高度な精神活動。一方で社会にはルールがあって、頭を使って折り合いをつけてほしい」と呼びかけた。
 
観客は手塚監督の話に聴き入り、終了後にはサインを求める長い行列ができた。大学生のイ・ヒョヌさんは「手塚治虫のマンガが好き。その息子の実験映画と聞いて見に来た。とても刺激的だった」と興奮した面持ちだった。


第27回プチョン国際ファンタスティック映画祭の公式ポスター

映画祭は7月9日まで。

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ライター
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。

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