(C)2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

(C)2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

2022.10.11

【原作読んでみた】映画「マイ・ブロークン・マリコ」は製作陣の原作愛に満ちている(ネタバレあり)

誰になんと言われようと、好きなものは好き。作品、俳優、監督、スタッフ……。ファン、オタクを自認する執筆陣が、映画にまつわる「わたしの推し」と「ワタシのこと」を、熱量高くつづります。

宮脇祐介

宮脇祐介



現在公開中映画「マイ・ブロークン・マリコ」があまりに好きすぎて原作本を買ってみました。
 
同作は、主人公シイノを演じる永野芽郁のこれまでのイメージをぶっ壊した演技、シイノの親友、マリコを演じる奈緒の危ういぶっ壊れっぷりの魅力が話題になっているところ。
2人はNHK朝ドラ「半分、青い。」以来、願っての共演となったそうです。
相手をあい照らし、見つめ合うような、息の合った演技はこの作品の見どころ。
 
そして、釣り人の窪田正孝、ろくでなしのマリコの父・尾美としのり、マリコの義理の母・吉田羊の、余韻のある演技の積み重ねが物語を上質に紡ぎ上げています。
 
監督はタナダユキ。
脚本も向井康介と共作しています。
 
この映画を見たあと、とても気に入って数日を過ごしたものの、どうしても原作が気になってしかたがありませんでした。
 
映画は原作のどこを生かして、どこを省略・改編したのか?
 
家の近くの本屋には残念ながら置いていなかったので、有楽町に行くついでに、交通会館の三省堂書店で買ってみました。
2階のコミックコーナーのアイランドにポップをつけて5冊くらいが平積みされていました。
 
原作は1巻読み切り。
有楽町から次の用事がある蒲田までの間、京浜東北線の中で読破しました。
 
そう、この物語はゆっくりと読み込むというより、ロックのBPMで読み飛ばすのが良いように感じられたからです。
もちろん頭の中ではエンディング曲、The ピーズの「生きのばし」が流れていました。
 
読み終えて、監督や製作陣・スタッフ・キャストがいかにこの原作を愛しているかが強く伝わってきました。
 
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※注意!※
以下、ネタバレあり
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映画のラストシーンには三つのプラス要素が!

 
あの遺骨強奪、窓からジャンプ、過去の振り返り、崖から飛び降り、衝撃的なラストの手紙のシーンまで……。
どれもが原作への敬意に満ちあふれて描かれていると分かりました。
 
そして、この素晴らしい原作を彩った三つの後半の加筆が、映画における手紙のシーンをさらに感涙させる仕掛けとなっていました。
 
それは、
①助けた少女からの手紙
②釣り人との駅での別れの弁当
③ブラック会社の部長にたたきつけた辞表
 
そのどれもが人から人に手渡すもので、生きているシイノの「これから」の小さなきっかけとなるエピソードの追加だったのです。
 
それが、原作の手紙のシーンを一層輝かせる仕掛けとなったのでした。
 
原作も映画もこれはホントに好きな作品。
 
パンクロックの名曲をただ立ち尽くして聴いているような名作。
 
ぜひとも劇場にてご覧ください。

追伸:「読んでから見るか、見てから読むか」。45年前の角川映画のキャッチコピーをKADOKAWA配給映画で今更体験することとなりました。
 
©平庫ワカ/KADOKAWA
原作:平庫ワカ KADOKAWAにて発売中

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原作は、平庫ワカによるコミック。鬱屈した日々を送るOL ・シイノトモヨは、テレビのニュースで親友・イカガワマリコが亡くなったことを知る。突然の出来事にうろたえるシイノだが、自分ができることを考えた末、マリコの遺骨を強奪して逃亡。彼女の遺骨を抱いて旅に出る――。

ライター
宮脇祐介

宮脇祐介

みやわき・ゆうすけ 福岡県出身、ひとシネマ総合プロデューサー。映画「手紙」「毎日かあさん」(実写/アニメ)「横道世之介」など毎日新聞連載作品を映像化。「日本沈没」「チア★ダン」「関ケ原」「糸」など多くの映画製作委員会に参加。朗読劇「島守の塔」企画・演出。追悼特別展「高倉健」を企画・運営し全国10カ所で巡回。趣味は東京にある福岡のお店を食べ歩くこと。

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