この1本:「マイ・ブロークン・マリコ」 残酷な現実を生き抜く
主役の女性2人のうち、片方は開巻時点でこの世にいない。生き残った片割れが、遺骨を抱いて旅をする、ひとりきりの2人旅。生と死を往還するロードムービー。後ろ向きだけどポジティブ、重くて暗いのに見終わって元気が出る、タナダユキ監督の力作。 ブラック企業の営業職シイノ(永野芽郁)は、小学校からの親友マリコ(奈緒)が投身自殺したことをニュースで知る。マリコを虐待していた父親の元から遺骨を奪い、マリコが行きたいと言った「まりがおか岬」を目指す。 物語は簡潔。シイノは岬に向かって突っ走る。しかし彩りは複雑だ。旅の道すがら回想場面が挿入されて、マリコとの太くて強いつながりが明らかになってゆく。思い出すのは...