「ニューノーマル」のチェ・ジウ

「ニューノーマル」のチェ・ジウ内藤絵美撮影

2024.8.20

チェ・ジウ 日本に〝復帰〟「皆さんに早くあいさつしたかった」 「ニューノーマル」「ブラックペアン」で久々再会

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勝田友巳

勝田友巳

チェ・ジウといえば、「冬のソナタ」のヒロイン。韓流ブームに火を付けた立役者の一人だ。「涙の女王」「ドラマの女王」として長年活躍してきた。ここ数年、コロナ禍や自身の結婚、出産を経て日本のファンの前からは姿を消していたが、今年は出演作の露出が続き、映画「ニューノーマル」公開に合わせて来日。「日本のみなさんに久しぶりにあいさつしたかった」と爽やかな笑顔で語るのだった。


ホラーは苦手 でも新たな挑戦

韓国映画「ニューノーマル」は、オムニバスのスリラー。不条理な暴力が横行する現代の〝新たな日常〟を描く。自身は怖い映画は苦手というが、チョン・ボムシク監督のたっての希望という。これまでのイメージと対極の、思いもよらない役柄で驚かされた。フフフと笑って「そう言ってもらえるのは、うれしいです」。

「新しいキャラクターに、慎重に挑戦しました。最初はうまくできるか心配でしたし、プレッシャーもありました。撮影日程はタイトで本読みの時間もなく、共演の俳優さんとも現場で初対面でした」。特にエレベーターの中でイ・ユミと対峙(たいじ)する場面の迫力は、〝涙の女王〟からは想像できないすごみ。「狭い空間での演技でしたが、監督は正確なタイミングの呼吸や感情表現を指示してくれました。イ・ユミさんとのお芝居も、緊張感を持ってリアルにできましたよ」。いや、それにしても怖かったです。「褒め言葉ですよね? また挑戦したいです」。柔らかい笑顔は、これまで通り。

二宮和也主演のドラマ「ブラックペアン シーズン2」(TBS系)では、韓国人医師役としてゲスト出演している。日本のドラマは「輪舞曲」(06年)で竹野内豊と主演して以来だ。「韓国では休まず仕事をしてきましたが、日本では『冬のソナタ』や『輪舞曲』から長い時間がたってしまいました。日本の俳優さんや監督さんと仕事するのはいい経験になるし、なにより日本のファンの皆さんに、あいさつがしたかった」


日韓の境界線なくなり、相互作用

2000年代初頭の韓流ブームから、日韓のドラマや映画を取り巻く環境は大きく変わっている。日本では韓流ブームで定着した韓国ドラマや映画への関心にK-POP人気が加わり、さらに動画配信サービスの普及が後押しした。韓国でも、日本の映画やアニメ、ドラマが浸透して互いの交流も進んでいる。

「日本のファンからは『冬のソナタ』で大きな愛情をいただいて、その後も送り続けてもらっています。自分が出演したドラマが、日本の人たちが韓国文化に関心を持つことに寄与できたと思うと、うれしいです。優秀な後輩たちが、私以上に日本のファンから愛情を注がれているのを見ると、誇らしい気持ちになりますね」

この間の変化を「境界線がなくなっている」と表現した。「両方の国で、文化的なコンテンツを見て、そして経験するにつれて、考え方はゆっくりと変わってきたと思います。そのコンテンツは種類も数も増えて、内容も豊かになりました。韓国でも多くの人が日本のコンテンツを楽しんでいます。こうして相互作用が起きるようになったのは、とてもいい状況だと思っています」

20年からのコロナ禍で韓国も大きな影響を受け、加えて自身は結婚、その後出産も経験した。「思いもしなかったコロナ禍から現在にいたり、今はまさに〝ニューノーマル〟な状態です。この映画のような出来事が、現実でも起きかねない世界に生きているということです。私たちにできるのは、やるべきことをしっかりやること。個人的にも、家庭と仕事のバランスをとりながら、新しいスタイルをお見せしたいです」。そして最後にうれしい一言。「日本の皆さんに、もっと頻繁に、たくさんあいさつする機会があればいいと思っています」

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ライター
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。

カメラマン
ひとしねま

内藤絵美

ないとう・えみ 毎日新聞写真部カメラマン

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