来日記者会見に臨むトム・クルーズ=内藤絵美撮影

来日記者会見に臨むトム・クルーズ=内藤絵美撮影

2022.5.23

トム・クルーズ来日会見 続編を考え続け、準備してきた36年だった「トップガン マーヴェリック」

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ひとしねま

ひとシネマ編集部

5月27日の「トップガン マーヴェリック」公開に合わせ、トム・クルーズが約4年ぶりに来日した。同23日、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーとともに東京都内で開いた記者会見では、映画に全てをささげる覚悟と愛情をたっぷりと語った。


プロデューサーのジェリー・ブラッカイマー(左)とトム・クルーズ

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予定より20分早く開始

同18日には「トップガン マーヴェリック」が特別上映されたカンヌ国際映画祭で名誉パルム・ドールを受賞したばかりで、休む間もなく日本上陸。この日は早々に記者会見会場に到着し、予定よりも20分も早く始まった。前作「トップガン」から36年ぶりの続編公開とあって、並々ならぬ思い入れがうかがえる。
 
トム・クルーズ(TC)「続編製作までに時間がかかったのは、準備が整わなかったから。観客がコックピットにいる感覚を持てる映画にしたかったんだ」
 
ジェリー・ブラッカイマー(JB)「トムと映画を撮るのは、本当に空中で撮影するということ。トムはF18戦闘機に俳優を乗せるために、3カ月の訓練計画を作った。F18に乗れば体に7~8Gの負荷がかかる。その耐性をつけるためだ。『トップガン』でも俳優をF14戦闘機に乗せたのだが、使えたのはトムの映像だけ。他の俳優は吐くか失神するかだったよ。今度は全部リアル。俳優は、飛行機が上昇する時は実際に上昇したし、下降する時は下降している」
 


何十年も、操縦しながら「どう撮るか」

クルーズは自身も操縦免許を持つ。実際に飛行機を操縦した「バリー・シール/アメリカをはめた男」(2017年)や、ヘリコプターのアクションがあった「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」(18年)と、自身の関わった作品で経験を積んだという。
 
TC「『トップガン』でも小型カメラを開発したが、その後何十年も、自分でも操縦しながら、どう撮るかを考え続けた。『バリー・シール』では機体にカメラを付けて撮影したし、『フォールアウト』ではヘリの空撮もあった。合成用のグリーンバックは使わないと決め、海軍にも、飛行機を借りるだけでなく、物語を理解したうえで協力してもらった」
 
そして、一番大切なのは物語だと強調する。正しく伝えるために、納得するまで挑戦し続けた。
 
TC「撮って、撮り直して、また撮り直す。ストーリーが王様なんだ。物語をどう語るか、どんな感情を伝えるか、そのためにどのレンズを使うか。なければ開発もした。空撮には多くの訓練が必要だ。スタジオや俳優、撮影監督らみんなを教育する必要があった。撮影当日の朝、この地形を撮りたいと言って実際に撮ったこともあった。正しいストーリーを伝え、感じてもらうためだ。」
 
「スタジオにはフィルムを送らなかったから、何が起きてるか分かっていなかっただろうね。だから、なんでこのやり方なのかと言われ続けたよ。けれど、一部を短く編集して大スクリーンで見せたら『なんてこった。いいよ、続けてくれ』とね」
 

劇場では浅く腰掛けて

前作から36年、一線で走り続け、「マーヴェリック」でも、若きトップガンに先んじて奮闘する。どうやって自分を維持しているのか。
 
TC「一生懸命仕事をしてきた。シンプルに。子どもの頃から好奇心が盛んで、人間を知りたい、世界を見たいと思ってきた。他の国に行って、他の国についての映画を作るのが好きなんだ。中でも、(日本が舞台の)『ラストサムライ』は特別な体験だった。準備のために2年間、毎日5時間トレーニングしたよ。全てのスキルを使って、観客を楽しませたい」
「この映画を見て、笑顔になってほしい。劇場では座席に浅く座って、前のめりで見てもらいたいな」
 
撮影の話になると熱が入って止まらず、途中で「話しだしたらきりがないよ、これでも短くしてるんだ」と釈明する場面も。カメラの放列の求めににこやかに応じ、深々と一礼して退場。映画への情熱が、全身にみなぎっていた。

ライター
ひとしねま

ひとシネマ編集部

ひとシネマ編集部

カメラマン
ひとしねま

内藤絵美

ないとう・えみ 毎日新聞写真部カメラマン