ハウス・オブ・グッチ ⓒ2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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2022.1.13

ハウス・オブ・グッチ

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)。

パトリツィア・レッジャーニ(レディー・ガガ)は、ファッションブランド「グッチ」創業者の孫、マウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)と出会い、猛烈にアプローチする。マウリツィオの父、ロドルフォ(ジェレミー・アイアンズ)に反対されても、身分の差を超えて結婚。ロドルフォの兄(アル・パチーノ)や息子(ジャレッド・レト)らが経営やデザインを担う一族のバランスが、パトリツィアの存在で崩れていく。

殺人にまで至ったグッチのスキャンダルを映画化。欲望にまみれた実話をリドリー・スコット監督が濃密にゴージャスに描き出した。ヒット曲をちりばめて力技で物語を推し進める演出が、題材に合っている。ヒステリックに叫ぶパトリツィアの内面はほぼ描かれないが、だからこそ知性に欠ける彼女の世俗的な野心が際立つ。楽しげにヒロインを演じたガガはもちろん、別人になりきったレトの怪演も必見。豪華な昼ドラを見るような気分で楽しみたい。2時間39分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(細)

ここに注目

 裕福な男性を口説き落として結婚にこぎ着け、その資産や権力を独占するために策を巡らしたり身内を蹴落としたりするパトリツィアは、まるで昼メロに出てくる悪女のよう。一度手に入れた金や地位に固執する姿ははたから見れば醜いけど、人間の本質を描き出していると思う。(倉)