2024年もたくさんの映画が、私たち映画ファンを楽しませてくれました。ひとシネマライターが、映画、動画配信サービスの作品から今年の10本、そして2025年の期待作を選びました。年末年始、鑑賞のおともに、どうぞ!
2024.12.26
切なくも前向き「パスト ライブス/再会」:総まくり2024年
「コット、はじまりの夏」
「Here」
「夜明けのすべて」
「ロボット・ドリームズ」
「ナミビアの砂漠」
「パスト ライブス/再会」
「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」
「3000万」(NHKドラマシリーズ)
「リプリー」(Netflixドラマシリーズ)
「サムバディ・サムウェア」シーズン3(U-NEXT配信)
生きづらさと共に生きる知恵「夜明けのすべて」
2024年の映画を振り返ったとき、とくに印象的だったのは2作品。1作目は「パスト ライブス/再会」だ。韓国からニューヨークへ移住した主人公ノラが、12歳のころ恋心を抱いた幼なじみに、24歳、36歳と、時を経て再会する。〝昔と今のわたし〟を見つめながら、〝これからのわたし〟と出会う物語だ。胸が締めつけられる場面が多いが、気まずさの中にぬくもりがある、不思議な感覚になった。切なくも前向きな鑑賞後の余韻が忘れられない作品である。
2作目は「夜明けのすべて」だ。人生における喪失や不遇、さまざまな生きづらさをアクシデントとしてではなく、それと共に生きる前提で描いた点に胸を打たれた。作中度々登場するおすそ分けに、人と人がつながりあって生きる上で最も大切な〝思いやり〟を再認識させられ、あたたかな気持ちに満たされた作品だった。